広島市議会議員(安芸区)

「もののあはれ」を感じる秋の夕暮れ

 いい顔ふやそう。沖宗正明です。

 この時期の風が好きです。肌寒い中に爽やかさと哀しさを感じます。あの夏の暑ささえも懐かしく思えます。

 秋風から連想するのは芥川龍之介の「鼻」に描かれた禅智内供(ぜんちないぐ)です。手を尽くしてやっと縮んだ鼻が一夜のうちに元に戻り、その長い鼻を秋風にぶらつかせながら物思いにふける結びも「もののあわれ」でしょうか。初めて読んだのは中学生の頃でした。その時はただユーモラスな小説にしか思えませんでしたが、この歳になると、内供の心の苦しみ、悲しみがわかるようになりました。

 

 我が家から見える鉾取山に西日が差す様子は、秋の夕暮れ時のもの哀しさを感じさせます。そんなとき、新古今和歌集の三夕(さんせき)の歌を思います。

 

「見渡せば 花も紅葉も なかりけり 浦のとまやの 秋の夕暮」 

    藤原定家

「さびしさは その色としも なかりけり 真木立つ山の 秋の夕暮」

    寂蓮

「心なき 身にもあはれは 知られけり 鴫立つ沢の 秋の夕暮」   

    西行   

  日本人にしかわからない美意識でしょう。

今日の新型コロナウィルス禍を予測していたゴルゴ13

 いい顔ふやそう。沖宗正明です。

 久しぶりに、さいとうたかをのゴルゴ13を読みました。取材力を始めとしていつもながらのレベルの高い内容でした。

 「万能ベクターVOGUE」と題された編です。ベクターとはその生物が本来持たない遺伝子を細胞に導入する運び屋です。シンガポールの研究所で純粋に学問的な研究が行われていましたが、イスラムのテロ組織がこれを悪用しようとする話です。医師であるわたくしが読んでもすぐには理解できないほど高度な内容でした。ゴルゴ13によってこの企みは潰えます。

 結びの部分は驚くべき内容でした。以下紹介します。

 

  「謎の新型肺炎、中国やシンガポールで大流行」との新聞の見出しに続いて、

薬物耐性菌、動物経由の感染症など、新種の感染症が、次々に報告されている。何者かが作り出した「病」が世界を席巻する日も近いのかもしれない。

 

 いかがですか?現在の新型コロナを見事に予言しています。これが世に出たのは2007年12月です。13年も前に現在の状況を予言しています。恐るべしゴルゴ13!!!

 ゴルゴ13のスタッフは分業制で、銃の専門家は約1か月間モンゴルに滞在して銃を撃ちまくったとか。武器の描写があまりにもリアルなので事務所へ家宅捜索に入られたことも。企画は外部に発注することもありそのメンバーは50人にも及び、大学教授から聞き取りをすることもあります。メガバンクの合併や原発事故の危機を描いた作品もあります。現実に起きるはるか前に予想して描かれています。そのリアリティには驚くばかりです。

 余談ですが、ゴルゴ13に描かれる女性はとてつもなくセクシーです。

 

  新たに注文した本。

  1. 警察の階段
  2. 日本の医療の不都合な真実

3.オスマン帝国英傑列伝  すべて幻冬舎

 

急性肝炎で真っ黄色になった思い出。

 いい顔ふやそう。沖宗正明です。朝夕は肌寒くなりました。秋祭りも間近です。いま、議会では令和元年度の決算審査が行われています。

 

 C型肝炎ウィルス発見に功があった3氏にノーベル医学生理学賞が授与されることになりました。彼らが残した功績を考えると、あまりにも遅いという印象です。

 わたくしは1987年に急性肝炎に罹りました。高度な黄疸で白眼や顔面が真っ黄色になりました。肝細胞に存在するGOTとGPTという酵素の正常値はおおよそ40以下ですが、わたくし場合、これらが約4000にまで上昇していました。数日前から体に鉛が入っているような激しい倦怠感がありました。微熱も続き、食事は全くできませんでした。突然、コーラのような黒い尿が出ました。そのとたん、肝臓がやられたと直感しました。採血したサンプルに至急とコメントして提出しました。ところが普段なら回答がある時間が過ぎても連絡がありません。電話で問い合わせると、あまりに数値が高すぎて希釈して測定しているとのことでした。4000という数値の連絡が入り、即広島市民病院に入院となりました。当時、ウィルスによる急性肝炎にはA型、B型のほか非A非B型と呼ばれるグループがありました。非A非B型のほとんどがC型であることが分かったのはその数年後でした。わたくしはA型肝炎でした。幸運にも劇症肝炎に進まず、検査データは急速に改善し、1週間程度の入院で退院となりました。

現在、何とか健康を維持できているのはこの時の幸運によるものです。

 

 いい顔ふやそう。沖宗正明です。

 朝夕は涼しくなりました。夜は肌寒さすら感じます。秋の虫が鳴くのも間近でしょう。秋の夜長に読書するために以下の本を注文しました。

 

1.作家の贅沢すぎる時間 双葉社

    伊集院静の人生論

2.中国コロナの真相 新潮新書

3.東条英機「独裁者」を演じた男 文春新書

   われわれは東条英機の実相をどれだけ知っているのか

4.戦国大名の経済学 講談社現代新書

   戦国時代の戦費はいかほどであったか?

5.殿、それでは戦国武将のお話をいたしましょう 中央公論新社

   貝原益軒の戦国夜話

6.コロナ後の世界 文春新書

7.米中最終決戦 徳間書店

8.可愛そうな歴史の国の中国人 徳間書店

9.コロナ大戦争 ついに自滅する習近平 徳間書店

   習さん、やりすぎだよ。

10.検定不合格 新しい歴史教科書 自由社

   歴史教科書は正しいのか?

11.銀座の美人ママとダンディ弁護士の粋で鯔背なニッポン論 ビジネス社

   ケント・ギルバート銀座ママの粋な対談。

12.名投手 江夏が選ぶ伝説の21人 ワニブックス

まるで千両みかん

 いい顔ふやそう。沖宗正明です。

 きょう基本構想・基本計画特別委員会が開かれ、今後10年間の広島市のまちづくりの方向が決まりました。基本計画は第6次となります。

 さて、昼間のニュースで早生みかんの初セリの様子を見ました。瑞々しくていかにも甘くおいしそうです。驚いたのはその値段です。1箱25個入りで258万円。一個1万円以上です。まるで落語の「千両みかん」です。

 

 千両みかんは、六代目古今亭志ん生が得意としたネタです。大店の若旦那がみかんを食べたくて寝込みます。これを聞いた番頭が安請け合いしますが、時季は真夏で、みかんなどあるはずがありません。番頭は大旦那から、倅が死んだらおまえは主殺しで磔になると脅され、必死にみかんを探します。ついにある店でたった1個みかんが見つかります。言い値は千両。大旦那は息子の命が救えるならと千両を出します。持ち帰って皮をむくと中には10袋入っています。1袋百両です。

 若旦那はいくつか食べた後、両親や妹にお裾分けします。三袋を預かった番頭は、これだけで三百両かと思うとやりきれません。自分の退職金でもせいぜい50両しかありません。

 志ん生は、「長い浮世に短い命、エーイってんで、番頭はみかん三袋、三百両を持って夜逃げしたてえます」と落として笑いを取ります。

 きょうのニュースはまさに千両みかんでした。