広島市議会議員(安芸区)

桜と在原業平

 いい顔、ふやそう。沖宗正明です。
 桜が咲き誇っています。なんとなく心がウキウキします。子どもの頃、元宇品の山で花見をしたことを思い出します。大人たちが酒を飲んで騒いでいるのを楽しく眺めていたような記憶があります。
 在原業平(ありわらのなりひら)は百人一首で「ちはやぶる神代もきかずたつた川 からくれなゐに水くくるとは」という歌を残しています。
 別に「世の中に絶えて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし」と古今和歌集で詠んでいます。「世の中に桜というものがなかったら、春の心はもっとのどかになったろうに」という意味です。平安の昔から、人々は桜の季節にはソワソワしていたようです。平安時代のプレイボーイで知られる在原業平も桜の時期には女性よりも花に惹かれたのでしょう。わたくしは、彼のかわいらしさが感じられるこの歌が好きです。
 以前、アステールプラザ人間国宝狂言師茂山千作さんによって演じられた「業平餅」は秀逸でした。茂山千作さんは平成19年に文化勲章を受章されています。内容は、平安時代のスーパーモテモテ男、在原業平の間抜けなプレーボーイぶりを描いたものですが、その演技は人間国宝の名に恥じない素晴らしいものでした。業平の年老いた従者として、腰を曲げて槍を担ぎながら舞台へ出てきただけで客席から笑い声が上がるほどの芸域に達しています。人間国宝とその一門の3世代の素晴らしい演技の内容で4000円の料金は破格に安いと思いました。文化財団の努力を高く評価します。