広島市議会議員(安芸区)

湿布でも胃潰瘍で吐血する危険性があります。

 いい顔、ふやそう。沖宗正明です。
 今日から6月、水無月(みなづき)です。今日から改正薬事法が施行になり、大衆薬の一部がコンビニなどでも買えるようになりました。便利になったと概ね評価は高いようです。今回の改正の主な内容は、副作用のリスクによって大衆薬を3種類に分類したことです。最もリスクが高い第1類は、客の手の届かないところに保管し、薬剤師が接客します。これにはガスターなどの胃腸薬やリアップなどの発毛剤が含まれます。ガスターは消化性潰瘍の薬で、副作用はショックや肝障害、貧血などがあります。最も重篤な副作用は中毒性表皮壊死症(ちゅうどくせいひょうひえししょう)で、全身の皮膚が壊死を起こし、死に至ることもあります。発毛剤は女性ホルモン様の作用があり、体内のホルモン環境を乱して、例えば男性に女性化乳房を起こすことがあります。第1類を薬剤師が対応するのは当然です。しかし、第2類と第3類は「登録販売者」でも対応できることになっています。第3類はビタミンや整腸剤などで副作用は軽微です。わたくしが最も心配しているのは第2類です。第2類には感冒薬や鎮痛剤が含まれます。消炎鎮痛剤は簡単に考えてはいけません。最近よく話題になっているのが非ステロイド性の消炎鎮痛剤です。バファリンやポンタール、ボルタレンなどがよく知られています。これらの消炎鎮痛剤は出血性の胃潰瘍を起こす可能性があります。とくに心筋梗塞脳梗塞を起こしたことがある人は要注意です。これらの患者は、梗塞の再発を防ぐために抗血小板薬という血液凝固を抑える薬(アスピリンやパナルジンなど)を服用していることが多く、わずかな潰瘍でも出血が止まりにくくなっています。この副作用はたった1回の投与でも起こりえます。驚かれるかも知れませんが、腰痛や肩こりの湿布にもこれらの消炎鎮痛剤を含むものがあり、消化性潰瘍を起こす可能性があるのです。ごく短期の経験しか持たない「登録販売者」がこうしたリスクに対応できるとは思えません。今回の薬事法改正は、厚生労働省による社会保障費削減の一環であり、国民の健康の切捨てです。何たる愚策でしょうか。コンビニで手軽に薬が買えるようになったと喜んでいる場合ではないのです。コンビニで売られた大衆薬で重篤な副作用が起きる日はごく近いとわたくしは予想しています。