広島市議会議員(安芸区)

議会の自殺行為に等しい修正案と、藤田議長の信念

 いい顔、ふやそう。沖宗正明です。
 3日間続いた雨も上がりました。少し渇水が解消されたようです。しかし、一部の地域では大雨による被害も出ました。
 昨日6月定例会が閉会しました。今議会の争点は職員の勤務時間の短縮する条例でした。これは8月1日から1日の勤務時間を15分間短縮する条例(時短条例)です。国家公務員に殉じて広島市人事委員会の勧告によるものですが、過去2回否決されています。その主な理由は「時間外勤務が増えて人件費が増大する」、「民間の経済情勢が悪く、時短は市民の理解を得られない」というものでした。反対したのは、自民党新政クラブひろしま政和クラブ、公明党の3会派でした。この3会派が6月30日に修正案を提出しました。内容は施行期日を「8月1日」から「規則で定める日」に修正するものです。「規則で定める」とは、全面的に市長の判断にゆだねるという意味です。これでは行政の行き過ぎをチェックするべく議会が自らその機能を放棄することになり、議会の自殺行為です。わたくしは、この修正案に対して質疑の発言通告を提出しました。結局、この修正案を提出した会派が「腰砕け」となり、撤回されました。公明党も原案賛成に回り、賛成多数で可決となりました。わたくしが所属する市民市政クラブは過去2回とも賛成しています。私は、人事委員会の勧告は承認すべきものであって議会が異論を挟むものではないと考えています。また、今議会での藤田博之議長のぶれない姿勢は政治家として学ぶべき点がありました。麻生総理との違いをまざまざと見せつけられた議会運営でした。政治家のリーダーの信念を学びました。
 以下、幻に終わった質疑の内容を掲載します。

 第91号議案 職員の勤務時間、休暇等に関する条例の一部を改正する条例に対する修正案について質疑を行います。
 この修正案は附則第1項中の施行期日を「平成21年8月1日」から「規則で定める日」に修正しようとするものです。
 提案理由には「この改正に当たっては、市民の理解を得るため、景気の好転を見極めた上で、適切な時期に施行する必要がある、」と謳われています。
そこでまず一点目は、何を以って「市民の理解を得られた」と判断するのか。次に何を以って、いかなる数字を以って景気が好転したと判断するのか。さらに、適切な時期とは何を以って判断するのかその基準をお答えください。
 今年4月の日本銀行広島支店が発表した金融経済動向では、「広島県の県内景気は悪化している」となっています。ちなみに、職員の勤務時間を短縮した政令市に関する、同じ時期の金融経済動向を示しますと、以下のようになっています。岡山支店によると、「岡山県の県内景気は、悪化している。」となっており、広島県と同様です。これに対して、大阪支店では、「近畿地域の景気は、大幅に悪化しており、厳しい状況にある。」となっています。同様に静岡支店のでは、「静岡県の県内景気は、大幅に悪化を続けている」であり、北九州支店の判断は、「北九州地区の経済は、一段と悪化している」となっており、これらの地域では広島県より厳しい状況が示されています。
 このように、職員の勤務時間を短縮した政令市では、職員の勤務時間は景気のよるものではないと考えていることを読み取ることができます。職員の勤務時間の変更はあくまで民間との差によるものであるべきです。さきほど配布された本市人事委員会の意見にも、「景気の好転という不確定な時期まで延期するような施行期日に係る規定の修正は必要ないと考えます。」となっています。この点についてはいかがお考えでしょうか。
 また、「規則で定める」とは地方自治法上、市長が判断することを意味し、市長に全権を委ねることになり、市長の判断に全く異議を挟めなくなります。先の議会では市民球場跡地の利用について、市民の意見を聞くための具体的検討の予算を削減しました。それには、行政側が市民の意見を無視して強引にことを進めることに対して歯止めをかけるという理由付けがなされていました。
 この修正案では逆に、市民の代表である議会の意見を反映させるのではなく、市長に白紙委任状を渡すことになります。行政の独断専行にブレーキをかけるべく選ばれた議員としては、とても市民に理解されないものではないと思いますが、その整合性を市民にどう説明するのでしょうか。この修正案は、行政に対するチェック機能を自ら放棄するものであり、議会としての自殺行為に他ならないと思います。わたくしは、この修正案の最も危険な点はまさにここにあると思います。自殺行為という指摘に対してどう反論されますか。この点についての見解をお答えください。
 すべて市長に委任するのではなく、議会の意思を示すために、「規則で定める」とあるところを例えば「平成21年10月1日以降に規則で定める」とするように、ある一定の時期を明記するお考えはなかったのかお答え下さい。
以上で質疑を終えます。