広島市議会議員(安芸区)

日本経済新聞社説のレベルの低さ

 いい顔、ふやそう。沖宗正明です。
 昨夜の豪雨も上がって、さわやかな朝を迎えました。晩秋から初冬の朝の冷気が好きです。若い頃、冷気の中を飛び出して一日をスタートしたことを思い出します。

 昨日の日経新聞の社説の内容に唖然としました。「診療報酬は増額より配分見直しが先決」との見出しでした。


 (1)勤務医と開業医との間の収入差をならす
 (2)収入が極端に高い診療科の診療報酬を見直す の2点について述べていました。


 (1)については開業医は勤務医の1.7倍の収入を得ているとの比較がありました。この比較は悪意によるものです。開業医は平均年齢が約60歳であるのに対して、勤務医は30歳代です。開業医は開業資金の借金を抱えている上に退職金もありません。開業医と勤務医は守備範囲も異なっており、同列に論じることは不合理です。マスコミもそんな事情を分かっていながら報道しています。わたくしはそんな報道に接するたびにやりきれなくなります。ちなみに、わたくしの医業による年収は、開業医の6割しかないと言われる勤務医の平均年収の6割です。つまり、わたくしの医業収入は開業医の年収の4割弱です。借金もまだまだ残っています。


 しかし、わたくしが呆れたのは社説の次の内容です。
「診療所の場合、整形外科医、眼科医、皮膚科医の収入が高いという調査結果がある。これら必ずしも人の生き死にに直結しない病気を診ることが比較的多い診療科の収入を下げて、外科や小児科に手厚く配分するのは当然だ。救急医療や難病の手術を手がける専門医なども、仕事の難しさや手技の高さに見合う収入が得られるようにすべきだ。」


 人の生き死にに直結しないから収入が低くて良いとはなんという暴論でしょうか。皮膚病変を見ただけで特定の内臓のガンが予測できることがあることを知らないのでしょう。眼底検査で全身に影響する疾患が分かることも知らないのでしょう。整形外科医が、骨盤や腰椎のレントゲン写真を見ただけで泌尿器科領域のガンを見つけることを知らないのでしょう。医師はそれぞれの分野で勤めを果たしているのです。


 レベルの高さに見合う収入を言うなら、大学教授や診療科のトップによる診療と、研修医による診療には値段の差がなくてはならないことになります。研修員の診療は安くても良いのでしょうか。わたくし個人の意見としては、大学教授や診療科のトップによる診療費は高くても当然だと思っています。


 実態を知らずして世論に迎合するのはマスコミの常ですが、これではモーニングショーやワイドショーのコメンテーターのレベルと変わりません。社説は新聞の顔です。しっかりと理論武装して内容のあるものになることを期待します。