広島市議会議員(安芸区)

闘牛はなんと奥深いことか

 いい顔、ふやそう。沖宗正明です。
大雨もやっと止みました。被災された方にはお悔やみを申し上げます。

 さて、今日は闘牛の話です。
 闘牛はスペインやメキシコで非常に高い人気を誇っています。闘牛はスペイン語で Corrida de toros といいます。Corridaは「走る」を意味する correr の名詞形で、de は英語の of 、toros は「牛」toro の複数形です。つまり、牛が走ることを意味しており、牛と闘うという意味はありません。


 さて、この闘牛に複雑な背景があるのを最近知りました。その一部をご紹介します。


 まず、闘牛に使われる牛は普通の牛ではなく、闘牛用の特殊な牛で、専用の牧場で育てられます。この種類の牛は群で行動するときは非常におとなしいのですが、群から離れると激しく凶暴になります。毎年7月始めにスペインのパンプローナで行われる有名な「牛追いまつり」では6頭の牛が走りますが、このうち3頭が闘牛用の牛です。この闘牛用の牛が群から離れて単独になったときに大暴れしてケガ人が出ます。今年は6人が病院送りになったとの記事が出ていました。


 1回の闘牛は20分で終わるようになっています。言い方を変えれば20分以内に牛を殺さないと闘牛士が危険になることを意味します。牛は全色盲で視力が弱いため、マタドールと彼が振るケープとの見分けがつかないのです。しかし、20分以上経過すると両者を見極めて、ケープでなくマタドールに突進するようになります。

 
 古い歴史を持つ闘牛ですが、これまで一流の名を許されたマタドールは130名しかいません。タイのムエタイと同じく貧しいこどもが這い上がるには闘牛士か宗教家になる他に選択肢がなかった時代があったようです。
 名前は失念しましたが、そのうち1人が引退したあと、衝撃の手記を発表しました。その手記の中で、彼は駆け出しのころ、闘牛用の牛を育てる牧場に無断で侵入して闘牛の腕を磨いたそうです。実はこれは絶対にやってはならないことなのです。なぜなら、これをやられた牛は人間とケープを見分けることができるようになり、実際の闘牛場でマタドールを襲う可能性があるからです。最近、牧場に無断侵入して練習していた少年が射殺された事件が起こっています。牧場主にとって許せない行動なのです。


 マタドールはケープを何気なくヒラヒラさせているように見えますが、ルールがあります。牛が突進してきたとき両足は移動させてはならず、片足を中心にして体を回転させて避けなければなりません。ギリギリのところで避けるほど腕が良いと評価されます。まさに命がけの紙一重の技術です。先日スペインでマタドールが牛に襲われたニュースがありました。なんと、突き上げた角がマタドールの下顎から入って口から出ました。数箇所から捉えたその映像を、テレビでなんども繰り返し放映していました。驚いたことにそんな重傷を負ったマタドールは奇跡的に一命を取り留めたそうです。


 ハイライトは、マタドールがトランペットの演奏に合わせて、首と両肩甲骨の間に剣を刺し、大動脈を切って牛を即死させるシーーンです。観客は総立ちで絶賛します。マタドールには仕留めた牛の耳が賞として渡されます。そして、殺された牛は馬車に引かれて行き、解体されて食肉になります。体の何箇所も槍や剣で刺されて、血を流しながら、マタドールを追う牛に観客は興奮します。10年前にバルセロナの闘牛場で、わたくしはそんな残酷な光景に耐えられず、途中で退席しました。 


 その国の文化とは言え、理解しがたいものがありました。捕鯨も他民族から見れば同様なのでしょうか?