広島市議会議員(安芸区)

名古屋市議会のリコールに異論あり。

 いい顔、ふやそう。沖宗 正明です。さわやかな日差しです。


 名古屋市では河村市長が主導して名古屋市議会のリコール運動に45万人もの署名を集めました。これにより議会解散の是非を問う住民投票が行われることが確実になりました。 

 
 わたくしは、河村市長の行動には異論があります。市長の公約が果たせないからと言って議会を解散しようとするのは、市長と議会を別々に選ぶという二元代表制を否定するものです。市長に公約があるように議員もそれぞれ公約を掲げて当選しています。なかには市長の公約に異論を唱えて当選した議員もいます。河村市長は、解散後の市議会議員選挙で自分の支援者を多数立てて過半数を得ようとしています。そうなると議会は市長の言いなりになり、本来の役割である行政のチェックはできなくなります。市長の御用議会など市民にとっては有害無益です。大阪府橋下知事が結成した、自分の考えに同調する議員を集めた「大阪維新の会」も議会を軽視するものです。人気知事が主宰する政党に入ることは選挙には有利でしょう。しかし、議員にとっては知事に異論を唱えないという意思表示をすることであり、自殺行為です。


 また議員定数については、議会自身が決めるべきことです。多くのマスコミは議員が多すぎるという論調をします。しかし、何をもって多すぎるというのかわたくしには理解できません。広島市議会の地方自治法上の法廷定数は64ですが、議会自らが55に削減しています。そのうち女性議員は7名です。20歳代の議員はいません。


 現在の議会がはたして市民の多様な意見を代表しているでしょうか?わたくしは、むしろ定数は増やしてもよいと考えています。サラリーマン、主婦、母子家庭、年金生活者、障碍者、若者など多様な代表が選ばれるべきであると思います。それは民主主義のコストではないでしょうか。それぞれの議員が専門の力量を生かして議会の総力として市長、行政と対峙すべきと思います。現在のように定数を削減すれば議員ひとりひとりの仕事は増え、議会の総力は低下します。いろいろな意見を代表できなくなります。
 わたくしは医療の専門家です。同様に看護師や保育士、建築士、教員経験者がいます。それらの議員は専門の分野でしっかり仕事ができます。しかし、たとえば歯科医や弁護士、障碍者を代表する議員はいません。それらの分野には光が届きにくくなります。国会では、エイズ患者や薬害被害者、自衛隊出身の議員が業績を上げています。


 また報酬については、河村市長がご自身の報酬を削減するのはいいと思います。議員報酬は報酬審議会の答申を受けており、決してお手盛りではありません。広島市の議員報酬は年間1500万円です。わたくしの同期の議員は初当選の時、50歳前後がほとんどでした。部長や課長の職を辞し、退職金をつぎ込んで選挙をしています。議員報酬を下げることはよき人材が選挙というリスクを取らなくなることになりかねません。極端な場合、議員がボランティアになれば、責任も軽くなり、いい加減な仕事しかしなくなるでしょう。自腹を切って勉強したり視察したりしなくなるでしょう。政治は金持ちの道楽になってしまいます。ホリエモンのような議員ばかりになっていいとは思いません。これも議会の力の低下につながります。


 議員地数の削減も議員報酬の減額も議会の力が低下し、結果として住民の声が届きにくくなることを意味しています。