広島市議会議員(安芸区)

誠意のない答弁が続いた9月定例会が閉幕

 いい顔、ふやそう。沖宗 正明です。「天高く馬肥ゆる秋」を実感する今日この頃です。


 9月29日、9月定例会が閉幕しました。物議を醸したのは軌道敷の緑化でした。魅力的な都市景観を形成することで、平成25年開催予定の第26回全国菓子大博覧会・広島を一層盛り上げるため、旧市民球場跡地前の軌道敷を緑化する、というものです。今年度はその一部区間原爆ドーム前電停約40メートルを先導的に整備するとなっています。


 財源の内訳は国庫補助金と本市の一般財源がそれぞれ825万円ずつとなっており、国庫からは、「先導的都市環境形成促進事業費補助金」として交付されることになっています。軌道敷を緑化することがなぜ先導的と言えるのか充分な説明はありませんでした。今後の計画は、商工会議所前から旧市民球場正門前までの110メートルの軌道敷を緑化することになっています。


 主な効果検証項目として、市民や来街者、沿線業者などの評価を行い、ヒートアイランド現象の緩和効果などが挙げられています。他都市では、鹿児島市では約6kmにわたって軌道敷の緑化が行われています。熊本市では約600メートルです。わたくしは、検証の上で市民の意見を仰ぐという条件付きで賛成しました。市民の癒しになればよいのですが・・・・・。


 わたくしは、この予算について質疑を行いましたが、その締めくくりとして理事者に対して苦言を呈しました。それは、前回の6月定例会もそうでしたが、今定例会も理事者の答弁があまりにも誠意のないものが多すぎたからです。以下はその要旨です。


1.ひまわり福祉会の運営費不正流用問題については、木で鼻をくくったような答弁であった。内部告発があるにも関わらず不正を見抜けなかったとか、出勤簿の改ざんや領収書の偽造で数字のつじつまが合っていたとか、御託を並べている。そんな監査なら、町内会の役員でもできる。臆面もなく、そんな理由を述べることは、自分たちには不正を摘発する気もなければ、その能力もないと言ったに等しいではないか。まさに、語るに落ちるとはこのことだ。


2.事務・事業見直し検討会議にしても、市民目線にたってという答弁があった。その程度の能力で、どうやって市民目線に立てるというのか。市長は外部委託した事務事業見直し等検討委員会を、重箱の隅をつつくようなことしかできていないと批判した。幹部職員だけでしかも非公開で検討するというが、そんなことでは、重箱の隅をつつくことさえもできないではないか。もっと言えば、重箱の隅を見逃す可能性だってある。


3.森本真治議員(市民連合)のPRE戦略(遊休地の有効活用策)についての質問に対して、これが2回目の質問であるにも関わらず、「よく存じ上げません」という答弁があった。怠慢ではないか。これは、福島第一原発事故に関しての菅総理の答弁、「すべてがある意味、初めてのことでありますので」とか、平成7年、阪神淡路大震災のときの村山総理の答弁、「なにぶん、初めてのことでございまして」と同じレベルではないか。理事者として、決して口にしてはならない言葉だ。


4.答弁の内容は市長の許可をえたものであろうが、そんなものは市民に対しても、われわれ議会に対しても、何の説得力も持たない。市長はあまり踏み込んだ答弁をするなと命じているとの噂が内部から伝わってきている。また市長は、あちこちで、自分が就任して以来、職員の表情が明るくなったと言っている。こんな答弁が許されるから、緊張感がなくなり、職員の表情が緩んだだけだ。明るくなったのではない。


 警視庁では、「金魚の立ち泳ぎ」ということばがある。その心は、「上ばかり向いて泳ぐ」ということだ。
 ナポレオン・ボナパルトが「セントヘレナ回想録」で語った言葉の中に、「あの男も大佐になるまでは勇敢な軍人だったが将軍にしたらダメになった。それは失うべきものを持ったからだろう」というのがある。今年度、新たに就任した局長もいる。ぜひとも、上ばかり見るのではなく、市民の方を向いてやる気を見せてほしい。金魚の立ち泳ぎにならないでほしい。そう願っている。


 とは言え、君たちの無作為と無能をいつまでも、見逃すわけにはゆかない。それが市民から選ばれた議会人としての責務だと思う。
 こんなことを続けていたら、広島市は市民から愛想を尽かされる。

 
 以上のような厳しい意見を伝えておきました。しっかり監視してゆきます。


 最近注文した本
1.蛙鳴(あめい)  莫言著、吉田富夫訳  中央公論社
 中国の一人っ子政策の実態を描いた本。
2.高速道路 なぜ料金を払うのか  東洋経済新報社
3.ジョージ五世  日経プレミアムシリーズ
 現代英国の基礎を築いた名君。ビクトリア女王の孫。昭和天皇が終生手本として尊敬した国王です。
4.辞める首相、辞めない首相    日本経済新聞出版社
5.税と社会保障の抜本改革     日本経済新聞出版社
6.どうなる?どうする?共通番号  日本経済新聞出版社
 共通番号があれば、消えた年金のドタバタなど防げたでしょう。個人の情報を守ろうとする反対意見も多いことも確か。
7.くじけてなるものか       幻冬舎 
 笹川良一が日本人へ残した遺書ともいうべきもの。
5.小説琉球処分          講談社文庫
 沖縄問題の原点。
6.カクテルパーティー 大城立裕著 出版社不明
 沖縄の米兵による高校生レイプ事件を書いたものです。基地問題に切り込みます。鳩山、菅二人の元宰相に読ませたいものです。
7.「暴力団」  溝口敦著 新潮新書
 別に、今からヤクザに入門する気はありませんが。この世界も様変わりしているようです。
8.ニュースが伝えない政治と官僚  青春インテリジェンス
9.三宅久之の書けなかった特ダネ 青春インテリジェンス
 8と9はご存じご意見番三宅久之の著作です。
10.世界恐慌の足音が聞こえる  中央公論新社
 ギリシャがいつデフォルトになるか。リーマンショックックの再来は間近?
11.灘中 奇跡の国語教室  中央公論新社
12.あらゆる領収書は経費で落とせる  中央公論新社
 これが本当ならありがたいのですが。税務の勉強をします。
13.清貧と復興 土光敏夫100の言葉  文芸春秋社
 いま、土光敏夫さんが存命なら・・・。当時の中曽根総理の腹の据わり方は政治家の範です。
14.決断できない日本  文春新書
 「沖縄はゆすりの名人」発言で更迭された知日派の元外交官の著書。彼は東北大震災の「トモダチ作戦」を支えました。徹底的なリアリズムで日本人の平和ボケに喝。
15.中国版 サブプライムローンの恐怖  幻冬舎
 中国のバブル崩壊も近いか?有名な中国問題評論家、「石 平」さんの著書です。
16.死にたい老人  幻冬舎
 静かに死にたいと「断食安楽死」を決意した老人作家の手記。いざ始めると強烈な死への恐怖が沸き起こりました。
17.世界の独裁者  幻冬社
 カダフィサダム・フセインなどまだまだ甘い。40万人を虐殺した、食人のうわさが絶えないなど、とんでもない独裁者がいます。
18.誤認逮捕  幻冬社
 冤罪の実例。他人事ではありません。


 定例会も終わりました。しっかり勉強します。