広島市議会議員(安芸区)

わたくしがTPPに反対する理由(6)

 いい顔、ふやそう。沖宗 正明です。


 TPP反対運動が激しくなってきました。昨日の産経新聞の社説には「首相は決断の時だ」との見出しでTPPへの参加を促しています。その中で、TPP参加は日米同盟の強化につながり、レアアースの輸出制限など国際ルールを無視し、独善的な行動が目立つ中国に対する牽制になると述べています。また、参加しなければ5年後に関税ゼロで自動車を輸出できるようになる韓国と比べて不利になるとも述べています。


 確かに、中国は人民元を不当に安く為替操作をしているとして米国は非難し、人民元の切り上げを要求しています。中国は人民元を安値に固定しての輸出を目指しています。自由貿易などする気がないのです。しかも、米国は中国に3兆円もの航空機を購入してもらう交渉をまとめたばかりです。そんなに強く出られません。



 自動車の輸出関税は現在2.5%ですが、実際には日本の自動車メーカーは海外で生産しています。米国内の日本車の新車販売台数の6割は現地生産です。ホンダは8割が米国内の生産です。関税など関係ないところで生産しています。テレビは5%ですが、もはやテレビの市場は韓国に奪われています。
 工業製品の関税を撤廃してもらえば輸出が増やせるのど甘いワナです。製造業は海外に生産拠点を移すことができるので、関税は有効ではありません。しかし、農業は海外で生産することができません。農業を守るためには関税は有効です。工業製品と農産品の関税撤廃を同じように扱うのは明らかに不合理であり、詭弁です。農産品の関税を撤廃すれば、米国の穀物やアジアの安い農産品が押し寄せてきて、日本の農業は壊滅します。コシヒカリやマンゴーなど高くても売れるという意見がありますが、それを買えるのはTPPに参加しない中国や韓国の一部の富裕層だけです。TPP参加国の中にはいません。



 9月24日の日経新聞にこんな記事が出ていました。
 シンガポール訪問中の枝野幸男経済産業大臣は、ゴー・チョクトン前首相と会談し、TPPについて指南を受けた。「TPP生みの親からの助言をお願いしたい」と水を向けると、前首相は「アジアにとどまらない大陸をまたいだ自由貿易の枠組みであることがポイントだ」と解説。そのうえで、「『マスクメロ』や『フジリンゴ』といった日本の農産物は国際競争力がある。早めに交渉に加わればルールつくりにも影響力を行使できる」と早期参加を促した。「いったん交渉に参加したうえで、結論が厳しすぎたら離脱する手もある」との秘策も伝授。枝野大臣は「とても参考になった」と応じた。との記事です。
 「助言をお願い」したり、「参考になった」だとか、日本の経済産業大臣がこの程度の認識しかないとは、お笑いを通り越して寒気がします。こんな人物がTPPを推進しているのです。 



 日本はすでに充分に国を開いています。GDPに占める輸出の割合をみると、TPP交渉参加国の中で日本より低いのは米国だけです。日本より輸出依存度が高い国に囲まれているということです。つまり、日本の輸出先は米国しかなく、同時に米国の輸出先も日本しかないということです。TPPに参加すれば、アジアに輸出が増やせるなど幻想にすぎません。