広島市議会議員(安芸区)

「がんばろう日本」の欺瞞

 いい顔、ふやそう。沖宗 正明です。
 昨日の汗ばむような温かさから一転して今朝は肌寒くなりました。


 デパートの高島屋福島県産のコメを歳暮用に売り出すことを決めました。被災地を元気づけるためだそうです。わたくしは、この決定を称えます。


 知人からこんな話を聞きました。「息子の嫁は、福島県産の食品はどんなものであっても絶対に子供に食べさせない」とのことです。福島県のものならすべてが危険なわけではないでしょうに・・・。こんな考え方のほうが多いのかも知れません。被災地の方は、震災と津波放射線汚染のほかに、風評被害にも苦しんでいます。京都五山送り火、愛知県日進市での花火大会、大阪府河内長野市での橋げた拒否などの過剰反応が被災地の方の心をどれだけ傷つけたことでしょう。風評被害があれば風評加害者がいるということです。それがマスコミなのか、わたくしたち自身なのか。わたくしたちは、気が付かないうちに加害者になっていることに思いをいたす必要があります。


 7月に福島県産の牛肉からセシウム137が検出されました。セシウムを含んだ雨に濡れた「稲わら」は乾燥するにつれて、セシウムが濃縮されます。この稲わら食べた牛から放射性セシウムが検出されたものです。政府が牛のエサについて通達を出したのは、3月19日です。しかもFAXによる通知でした。震災の大混乱の中で出されたFAXです。それがどれほどの効果を持つでしょう。このとき、大新聞は次のようなコメントを出しました。「農家は県などの指導を通じて、屋外の稲わらをエサにしてはいけないことを知りながら、エサが足りないために与えた。生産者としての責任感を書いたと言わざるを得ない」と。
 農家は被害者です。その被害者にこんな配慮のない非難を投げつけました。新聞こそ加害者です。読者がそれに乗せられることも、気づかないうちに加害者になることです。


 
 国会で、東京大学児玉龍彦教授が「7万人が自宅を離れてさまよっているときに、国会は一体何をやっているのですか」と怒りをぶつけました。日本人として、「がんばろう日本」が単なるお題目にならないことを願っています。


 そんな中で、ブータンワンチュク国王とジェツン・ペマ王妃の高貴で慈愛に満ちたお姿は、被災地だけでなく日本中を励ましてくださいました。アジアにこんな素晴らしい王室を持つ国があることを誇りに思います。
そして、今上陛下の一日も早いご快癒を心からお祈り申し上げます。