広島市議会議員(安芸区)

インドのカースト制度

 いい顔、ふやそう。沖宗 正明です。
 きょうは昨日に続いて、インドのことを書きます。


 われわれが抱くインドのイメージはどんなものでしょうか。中島氏の講演を聞くまでの、わたくしそれは、広くゆったり流れるガンジス河で多くの人が沐浴する姿でした。どちらかというと、発展途上の衛生的でない国というイメージでした。昨日書きましたように、今ではまったく違っています。講演の最初の段階で、中島氏のお嬢さんがインドで出産したという先制パンチが飛んできました。不衛生な国より日本に帰国して出産するのが当然と思っていたからです。ご本人の動機は医師であるわたくしにとって衝撃でした。「インドの医療は技術も優れ、安心できる。手術も日本なら2時間半もかかったのにインドでは30分で済んだ。手術を受けた日に退院の許可が出た。料金も安い。」とのことでした。


 インドの地形はインド洋に突き出た逆三角形を思い浮かべるでしょうが、実際には北はヒマラヤまで伸びた菱形です。最北端は北緯38度。これは南北朝鮮の軍事境界線、仙台、新潟、サン・フランシスコの緯度に相当します。北側は地殻変動によって今でも毎年5〜6センチメートル、ヒマラヤ山脈に向かってめり込んでいるそうです。南端は北緯8度ですから、フィリピンのミンダナオ島エチオピア、ガーナの高さです。
 もっとも驚いたのはガンジス河についてです。よく眼にする映像でもガンジス河はゆったり流れています。数字で示されて耳を疑いました。ガンジス河の総延長は2500kmです。その源流から海までの勾配差はなんとわずか311メートルです。つまり、1キロメートルでの勾配差はわずか12.4センチメートルしかありません。ゆったり流れるはずです。昨年のタイの洪水のときにバンコクに迫るスピードがあまりに遅い理由もわかりました。東南アジアの大河は小さい勾配差のためにとてつもなくゆっくり流れるのです。「五月雨を集めて速し最上川」の句のように、日本では木曽川天竜川などの急流や暴れ川を想像しますが、まったく違うのです。



 宗教は複雑なので簡単に述べます。ヒンズー教徒が80%、イスラム教徒が13%、キリスト教シーク教徒が各2%、そして仏教徒が1%となっています。インドではすべての宗教は平等に扱われ、宗教によっての差別はないそうです。


 また、言語は2000以上あるといわれています。その中で公用語とされているのは22で、ヒンディー語と英語は共通語とされています。宗教と同様に言語による差別もないので、インドのルピー紙幣には22の言語が書かれているそうです。



 今日の本題はカーストです。一つの分け方として「バルナ」があります。これはサンスクリット語で「色」を意味します。紀元前13世紀に白人であるアーリア人がインドを支配した時に「肌の色」で差別したことに始まるといわれています。大きく分けて4つあります。まず、神に仕える「バラモン」、氏族や武士にあたる「クシャトリア」、一般庶民「バイシャ」、そして奴隷の「スードラ」です。さらに低い「ダリット」と呼ばれる不可触民もあります。日本人を含む外国人はすべてこの「ダリット」に位置付けられます。これはヒンズー教の「浄」と「不浄」、「輪廻」の概念からきています。職業もカーストによって決まっています。今の身分は前世の結果であり、今の身分を受け入れて、上に尽くすことによって来世は上の身分に生まれ変わると信じられています。


 カーストの別の分け方として「ジャティ」もあります。これはいわゆる「生まれ」による階級制度です。ジャティは2000〜3000あるとも言われています。カーストに強く反対したのが紀元前5世紀に生まれた釈迦でした。また、インド憲法ではカーストは認められていません。


 結婚は大きな問題となります。結婚は同じカースト同士が原則ですが、上位カーストの男性と下位カーストの女性の結婚は例外的に認められます。最上位の「バラモン」の女性の相手は同じ「バラモン」の男性しかありませんので、縁遠いケースが多いようです。逆に上位カーストの女性と下位カーストの男性の結婚は絶対に認められません。最近は、その認められない「駆け落ち」が増えているようです。そのために、女性の父親が自殺したり、女性の親族がその女性を殺害することも珍しくないそうです。親族全体の罪と考えられるからです。


 結婚とは、父が娘を夫に与えるものであり、妻は夫の所有物と考えられています。貞操は重要視されるので、結婚するときには処女でなければならないとされています。古い法典には夫が30歳なら妻は14歳、夫が14歳なら妻は8歳と定められていました。そのため、インドでは幼児婚が多くありました。いまでも地方に行くと幼児婚は珍しくないそうです。ちなみに、マハトマ・ガンジーが結婚したのは13歳の時で、相手も13才だったそうです。このころは幼児婚は珍しいものではなかったようです。
 妻は夫の所有物と考えられることから、未亡人の再婚は認められません。そして、今でも夫が死んだとき、葬儀で火に飛び込むという妻の殉死が行われることもあるようです。殉死の多くは親族から強要されるようです。


 昨日と今日書いたことは講演の一部ですが、みなさんには驚くことばかりではなかったでしょうか。インドへの理解が深まれば、講師の中島氏もお喜びでしょう。それにしても、なんとも奥の深い国です。