広島市議会議員(安芸区)

高金利通貨預金のワナ

 いい顔、ふやそう。沖宗 正明です。
 桜の開花の話題もちらほら聞こえてきます。


 きょうは為替の話です。2月14日に日銀が追加金融緩和を発表して以来、急速に円安の方向に傾いています。2月14日から昨日までの米ドル/円は約5円の円安になりました。これからさらに円安が進むのか、高値警戒感からドルが売られて再び円高になるのか予想は分かれるところです。


 さて、高金利通貨預金が話題になります。金利の高い通貨を買って預金すると、ゼロ金利の日本円より有利に増やせるというものです。高金利通貨としては、南アフリカランド、ブラジルレアル、オーストラリアドルニュージーランドドルなどがよく知られています。しかし、実際にはそんなに甘くありません。なぜならインフレ国の通貨は下落するからです。高金利であることはインフレ率が高いことを意味します。ゼロ金利にも関わらず円が高かったのは経常収支が黒字であり、世界最大の債権国であることに加え、デフレであるからです。裏返せば、世界最大の債務国であるにもかかわらず、ドルを垂れ流している経常赤字国のアメリカがゼロ金利ではドルが上がる理由がないことになります。アメリカは輸出を増やすためにドル安政策をとっているのです。いわば、史上最悪の通貨といえます。アメリカと日本の3か月物の金利差が1.5%以上ないと米ドルは買われる理由がありません。


 わかりやすく書きます。いまのレートが1米ドル=100円だとします。そして、アメリカが超インフレで金利が年間100%だとします。1年間銀行に預けると2倍になるということです。ここに1万円のパソコンがあるとしましょう。アメリカでは100ドルです。きょう、わたくしが1万円を100米ドルに換えて、ドル預金をします(両替手数料は無視します)。金利が100%ですから、1年後には200米ドルに増えています。日本では預金していてもゼロ金利なので1万円のままです。このときわたくしは儲かったのでしょうか? 実際には全然儲かっていません。なぜなら、アメリカ国内ではこのパソコンはインフレのため、200ドルに値上がりしているからです。当然、為替の仕組みで、レートも1米ドル=50円の円高ドル安になっています。50円×200ドル=1万円。円に交換してもやはり1万円のままです。


 米ドルで2倍に増えても日本円に換えたときに増えていなければ全く意味がありません。「インフレ国の通貨は減価する」のです。ですから、高金利通貨の預金は往復の交換手数料(結構高い)を考えると、むしろマイナスの危険性すらあります。そんなにうまい話はありません。わたくしがこんなことを話せるのは為替で損をしたからです。でも、とてもいい勉強になりました。為替、インフレ、金融政策などが以前よりはるかに理解できるようになりました。その意味では合理的な授業料だったと自分を納得(?)させています。