いい顔、ふやそう。沖宗 正明です。
いよいよ迷惑な黄砂の時期になりました。近く相当強烈な黄砂が飛来するようです。
この時期は小学唱歌の「朧月夜」を思い出します。
菜の花畠(ばたけ)に 入り日薄れ
見わたす山の端(は) 霞(かすみ)ふかし
春風そよふく 空を見れば
夕月(ゆうづき)かかりて におい淡(あわ)し
里わの火影(ほかげ)も 森の色も
田中の小路(こみち)を たどる人も
蛙(かわず)のなくねも かねの音も
さながら霞(かす)める 朧(おぼろ)月夜
作曲は岡野貞一、作詞は高野辰之。1914年(大正3年)に『尋常小学唱歌 第六学年用』に初めて掲載されたそうです。
また、別に小唄の名曲「春の夜」もこの時期にピッタリです。
春の夜のおぼろ、おぼろの花の香に
夢かとまごう東山
加茂の流れに影映す
柳がくれの月明かり
露に濡れそな鬢(びん)つきも
踊りがえりの後ろ影
この唄は田中角栄さんが得意としていました。角栄は春日流の名取でした。角栄は「だみ声」が印象に残っているでしょうが、小唄となると、なんとも粋な声になりました。かれが活躍していたころには国会議員の小唄の会が盛んに開かれ、前尾繁三郎や時事放談の細川隆元など名手がいました。古き良き、粋な時代でした。
かく言うわたくしも小唄は本木流の名取です。本木寿以友(もときすいとも)師匠から本木寿以友明(もときすいともあき)という名跡を許されています。最近は稽古する時間がなく寂しい思いをしていますが、「江戸の粋な世界」を垣間見せてくれた小唄に出会えたことに感謝しています。