広島市議会議員(安芸区)

プロレスラーや力士の外科治療は難しい

 いい顔、ふやそう。沖宗 正明です。
 雨模様ですが、なんとなく暖かさが感じられます。ロシアでは隕石落下で大騒ぎです。6500万年前の恐竜たちも巨大隕石衝突でパニックに陥ったことでしょう。


 昨日、友人のドクターから面白い話を聞きました。かれは東京にいたころ、プロレス団体の専属ドクターを務めた経験があります。故ジャイアント馬場は親しい友人だったそうです。以下はかれの経験した内容です。
 プロレスラーや力士のように並外れた体躯の患者の外科治療は常識が通用しないことが数多くあります。たとえば腰椎麻酔の場合、腰椎と腰椎の間に針を刺して局所麻酔剤を注入し、下半身だけ麻酔を効かせます。通常なら麻酔用の針の長さは6〜7cmですが、プロレスラーや力士の場合は10数cmの特別長い針でないと脊髄まで届きません。
 また、全身麻酔のときには気管へ人工呼吸のためのビニールチューブを挿管します。これも特別サイズになります。気管挿管のとき、麻酔医は患者の頭の側から喉頭鏡という器具を使ってチューブを挿入します。このとき、喉頭鏡のブレードという湾曲した部分で舌を前方に押しやって気管を視野に入れますが、10cm程度のブレードでは巨大な舌を圧排できません。しかたなく、気管切開を行って全身麻酔をすることも多いようです。力道山は腹部を刺されことから腹膜炎を発症して亡くなりましたが、かれも十分な外科治療を受けられなかったと聞いたことがあります。
 
 プロレスファンならだれでも知っている、身長が2メートル20cmのレスラーは、小心でホテルの部屋に往診を頼んできたそうです。恐々ながら部屋に入ると、2つ並べたダブルベッドに横たわっていたレスラーは、試合でちぎれた側腹部の皮膚を大切に持って帰っており、縫合してほしいと頼んだそうです。イメージをのギャップに笑ってしまいました。

 また、ほとんどのレスラーは頸椎を痛めているそうです。鍛えた体で、ストーリーがある試合とは言いながら、時にはエキサイトしてガチンコで技をかけるときに痛めるようです。

 CTやMRI装置にあれほどの巨大な体は入りませんので、検診さえ十分に受けることがでいません。ジャイアント馬場は61歳で大腸がんの肝転移で亡くなりました。十分な検診を受けられていればもう少しあの雄姿(?)を見ることができたかも知れません。