広島市議会議員(安芸区)

富士山どころではないエヴェレストの混雑

 いい顔、ふやそう。沖宗 正明です。
 猛暑を言い訳にして、昨日もビールの消費が増えました。


 世界自然遺産に登録されて、富士山の登山客は急増しています。世界最高峰のエヴェレストではどのような状況かを調べてビックリです。混雑ぶりは富士山の比ではありません。
 まず下の写真を見てください。

 

 この写真は昨年5月19に撮影されたものです。頂上直下にあるヒラリー・ステップと呼ばれる高さ12メートルの岸壁で登頂を待つ登山家たちです。待ち時間は2時間だったそうです。これほどの渋滞が現実に起こっています。この日に登頂に成功した登山家は、たった1日でなんと234人です。死亡者も4人出ています。

 

 登頂を果たし、下山する登山家たちの傍らにはカナダ国旗に覆われた遺体が横たわっています。

 

 エヴェレストのネパール側のベースキャンプ。数百人の登山家でにぎわっています。黄色や赤はテントです。


 エヴェレストは明らかに定員オーバーの状況です。1963年アメリカ遠征隊が登頂に成功して以来、2012年までに6,206人が登頂しています。2012年には5月19日の234人を含めて最高の547人が登頂しています。
 また、これまでの死亡者は登山家157人、地元スタッフ83人です。原因は滑落、体力の消耗、高山病、雪崩などです。


 最近では正確な天候が予想できるため、かつてのように晴れるのをじっと待つこともありません。したがって好天の日には集中することになります。また、入山料がべらぼうに高いため(300万円〜1200万円)、無理してまで登頂を目指すこともあります。
 王政を廃止して連立政権が誕生したネパールは人口3,000万人のうち、4人に1人が貧困にあえいでいます。2012年春の登山シーズンだけで3億円の入山料や登山家が地元に落とした12億円はネパールにとって魅力でしょう。ネパールは入山を制限する様子はなく、混雑はますますひどくなると予想されます。当然、ごみや排せつ物が環境への不可となります。ごみや排せつ物を持ち帰るためには、登山家とほぼ同数のシェルパが必要になると言われています。この人件費も小さくないため、汚染は進んでいます。


 現実問題として、エヴェレストの惨状を解決する方法は見い出せていません。千円の入山料を出し渋るような不心得な登山者であふれる富士山もエヴェレストを「他山の石」とすべき時が来ています。
(写真はナショナル・ジオグラフィック日本版2013年6月号に掲載されているものです)