広島市議会議員(安芸区)

婚外子相続差別の違憲判断について

 いい顔、ふやそう。沖宗 正明です。
 久しぶりの晴天です。昨日の瀬野川は大変な増水で、猛烈なスピードで流れる大量の水は河川敷を覆っていました。
 
 
  9月4日午後2時

 
  9月5日午後2時。水量も減って河川敷が見えます。


 婚外子相続差別に最高裁違憲判断がなされました。これまで物議を醸してきた問題であり、マスコミでも大きく扱われています。
日本国憲法第14条第1項には、「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地(もんち)により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」と書かれています。
この条文からしても婚外子相続差別は違憲であることは明らかですが、差別がこれまで続いてきたのは日本社会の家族のあり方や法律婚を尊重する考えが根底にありました。



 わたくしは、この差別は撤廃すべきだと思います。しかし、世界の潮流がどうであれ、また国連の委員会が法改正の勧告があったとしても、守るべき日本の伝統や文化は継承すべきです。この判断が日本に定着している法律婚を否定するものでもないことは勿論ですが、重婚を認めるものでもなく、事実婚や非婚カップルを薦めるものでもありません。


 今回の報道では、温度差を感じました。中国新聞はこの判断に拍手喝采しています。その一方で産経新聞では、「法律婚を尊重する意識は幅広く浸透している」と法定意見は述べているのに、なぜ違憲判断なのか?今回の判断は「法の賢慮」が平等原理主義に敗れ去ったものだとの意見を掲載しています。



 織田作之助原作の映画「夫婦善哉」は昭和30年に初公開されました。森繁久彌が演じる大阪船場の大店の若旦那は絶品でした。放蕩を繰り返し、最後は勘当同様になりますが、そのドラ息子ぶりには憎めない愛嬌がありました。これにしっかり者の芸者、淡島千景が愛想をつかせながらも離れられない可愛さを演じました。ラストシーンでは小雪が舞う中に、1本のマフラーを二人の首を巻いて法善寺横丁の水かけ不動の前を通ります。森繁の「頼りにしてまっせ」のセリフに続いて招き猫が大きく映されて終わります。日本映画界の最高傑作のひとつです。

 この映画の中で、妻がいる森繁が淡島を妾にするときに彼女の実家を訪れるシーンがあります。あばら家で森繁を迎えた両親は、「この子を宜しゅう、お頼ん申します」と懇願します。昭和初期には、娘が妾になって、旦那から両親の援助をしてもらうことは親孝行だったことがわかります。今回の婚外子差別は、妾が社会的に認知されていた時代の明治31年に設けられました。婚外子の権利がゼロでは気の毒なので、嫡出子の半分であっても相続させようという発想があったのかもしれません。