広島市議会議員(安芸区)

手術用ロボット(ダ・ヴィンチ)のすばらしさ

 いい顔、ふやそう。沖宗 正明です。
 昨日の台風は思ったより風雨が少なく、やや拍子抜けの感じでした。
 


 今日の平成24年度決算特別委員会総括質疑で会派を代表して質問に立ち、2点を取り上げました。
1.指定管理者制度についていくつか財務諸表が提出されていないケースがありました。広島市永安館、広島市可部火葬場、広島市湯来火葬場、広島市五日市火葬場、広島市高天原納骨堂、広島市西風館、大町第二保育園などです。当然、これらのケースでは財務安定性の点検が十分とは言えず、市のミスと言えます。厳しく再発のないように求めておきました。



2.企業会計ののバランスシートについて、とくに病院事業会計の流動比率について質問しました。流動比率とは、短期的な流動負債に対しての流動資産の比を言い、企業の安全性の指標の一つです。

 病院事業局全体として平成24年度の流動比率流動資産252億円に対して流動負債48億万円。流動比率は前年度の409.9%から525.3%にまで上昇しています。
 市立病院全体での現金預金は24年度は169億円となっています。本家広島市の貯金である財政調整基金よりはるかに多くの貯金があるにもかかわらず、まだ仕送りを受けている構図です。母屋で粥をすすっているのに離れではすき焼きを食っているとまでは言いませんが、親から仕送りを受けている子が金を貯めこんでいるといえます。
 今年度は約100億円の国債を購入していますが、ため込むばかりが能じゃない、むしろ患者を集めるために新しい医療機器を購入したり、患者のためになるようなシステムを改良するなどに投資するべきではないかと質しました。
 答弁は、「昨今の経営状況が改善基調となっていることから、今後財政当局と協議しながら、医療の質を高めるため、滞っていた医療機器の更新等を進めていきたい」とのことでした。


質問の様子は明日の午後には放映される予定です。「広島市議会のホームページ」→左側の「本会議・委員会」→
上段右の「議会中継」→「決算特別委員会」→「決算特別委員会中継録画」で見られます。


 皆さんにぜひ知ってほしいことがあります。手術用ロボット、ダ・ヴィンチのことです。
 昨年度広島市民病院に導入された手術用ロボット、ダ・ヴィンチは3億8000万円です。本体価格が3億2000万円で5年間のメンテナンス料が6000万円となっています。9月26日は導入してちょうど1年目でしたが、この日にダ・ヴィンチによる前立腺癌手術が100例になりました。広島市民病院の実績は全国で5本の指に入ります。しかも事故が1例もありません。
 ロボットによる前立腺がん手術は、開腹手術より50万円高く設定されています。患者の負担増は3割なら15万円高くなりますが、患者が殺到しています。


 
 ダ・ヴィンチによる手術は開腹手術や、内視鏡手術、腹腔鏡手術に比べて出血量が少なく輸血例はゼロです。わたくしが大学に在籍していたころの前立腺癌の開腹手術は骨盤腔の最も深い場所ということもあって、出血量が多く輸血のリスクが高かったものです。
 がんの制御は内視鏡手術や腹腔教手術に比べて同等以上とされています。
 また、開腹手術ではほぼ必発の尿失禁も非常に少ないうえ、術後1年の性機能の温存成績も優れています。これらは神経温存ためと考えられます。わたくしの時代には、手術直後の尿失禁や性機能の障害はほぼ必発でした。ダ・ヴィンチによる手術はこのように素晴らしいものです。



 広島市民病院泌尿器科の雑賀部長はこの分野の第1人者であり、彼を慕って全国から研修医が集まることでしょう。広島市民病院は全国に誇れる病院と言えます。ダ・ヴィンチを導入後の1年間100例で5000万円の収益が増えたことになります。低侵襲手術であり、術後成績も良い。患者にとっても病院にとってもハッピー。このような投資は積極的に行うべきであろうと述べました。
 


 債権を買えば流動資産から固定資産に変わり、確かに流動比率も下がります。そんな小手先の操作は本末転倒です。安全確実だからといって、俗な言葉で言う「みみっちい」利息など求めるべきではありません。
 広島市の5つの市民病院(広島市民病院・安佐市民病院・舟入病院リハビリテーション病院・安芸市民病院)は来年度からの独立行政法人化で経営の自由度が増します。積極的な設備投資を行って、しっかり市民に還元してほしいものです。