広島市議会議員(安芸区)

ダントツに少ない日本の医療用麻薬の使用量

 いい顔、ふやそう。沖宗 正明です。
 梅雨明けが待ち遠しいころです。梅雨明け前にこの暑さですので、夏本番になるとどうなるやら。


 清原和博高知東生などの薬物使用がマスコミを賑わしています。覚せい剤やコカイン、ヘロインなどの麻薬は人間を破壊する怖いものです。
 中国では古くから阿片窟があり、阿片(ヘロイン)はポピュラーなものでした。これに対して日本では阿片は広がらず、違法薬物では覚せい剤が多くを占めています。中国人は気分がローになる阿片を好み、日本人はハイになる覚せい剤が好まれる(?)ようです。


 がん治療の分野では、痛みの緩和は大きなテーマです。疼痛緩和のために医療用麻薬を使うことは、患者だけでなく、医師にも抵抗があるようです。先日の緩和ケア講習会では、医療用麻薬を使うことのロールプレーイングがありました。医師と、患者、観察者3の人の役割を経験しましたが、非常に勉強になりました。


 まず、患者にとって麻薬を使うことは次のようなハードルがあります。
(1)麻薬を使うことは、末期で死が間近に迫っているのではないか?あるいは死期を早めるのではないか?
(2)麻薬を使うと中毒になるのではないか?
ロールプレーイングでもこうした疑問がぶつけられました。


 (1)も(2)も誤った疑問です。
 麻薬を使うことは、痛みを和らげ心身ともに良い効果をもたらしますので、むしろ死期を遅らせることになります。
 また、中毒については、医師の処方の下で適切に使えば、中毒になるのは0.2%以下となっています。中毒になるのは、本人が量や回数を考えずに勝手に使うことによって起こります。
 しばしば耳にするのは、家族や知人ががんの末期に麻薬を投与されて意識障害や、せん妄になったということです。以前は投与量を多くしても痛みを和らげることを優先する考え方がありました。しかし、現在では、痛みを和らげるぎりぎりの量を投与します。逆に言えば、痛みが和らぐまで投与量を増やすこともあります。講習会の講師の経験談では常用量の10倍使って痛みを緩和できた例が示されました。


 先進国の医療用麻薬の100万人あたりの1日の使用量を比較すると、ダントツに多いのがアメリカで、1,550グラムです。これにドイツの1,300グラム、カナダの1,250グラム、オーストリアの1,100グラムが続きます。
 次は一気に下がってフランスの550グラム、オーストラリアの500グラム、イギリスの250グラム、イタリアの200グラムとなっています。
 ダントツに少ないのが日本と韓国で70〜80グラムです。


 これからがん患者は確実に増えます。疼痛の緩和の重要性はさらに大きくなるでしょう。