広島市議会議員(安芸区)

悪意なき超ブラック企業。それは病院。

 いい顔、ふやそう。沖宗正明です。
 広島市議会では本会議が開かれ、総括質問が行われています。毎年、2月定例会ではその年度の議案と翌年度の議案が提出されるために、一般質問に当たるものを総括質問と呼びます。市政全般について質問することについては全く同じです。

 昨日の新聞で、県立広島病院の勤務医179人のうち、4.5%に当たる8人が2016年度に年間1000時間を超える残業をしていたことが書かれていました。月平均にすると、過労死ラインの80時間を上回っています。同病院だけでなく、総合病院では同様でしょう。わたくしが若いころには、医師には残業という考えはありませんでした。手術をすれば必ず夜遅くまで患者のそばにいました。ほとんどサービス残業でしたが、それは医師として当然の義務と考えていました。医師は患者の求めに応じる義務があります(応召義務)。これは患者が医師に対して無理を言わなかった時代にできた法律です。現在では、無理難題を吹っかけてくるモンスターペイシャントは珍しくありません。それがいかに現場を疲弊させているか外部からは想像できないでしょう。また、診療行為自体も以前とは比較にならないくらい増えています。しかし、国民やマスコミから医師を擁護する姿勢が伝わってきません。それも医師やスタッフの士気を低下させます。まさに、病院は超ブラック企業です。しかし、一般に言われるブラック企業とは違います。管理者に悪意がないからです。現場の医師やスタッフは今日も義務感で残業しています。

 わたくしの経験ですが、研修医のころ、初めての学会発表の準備に追われて2日間一睡もしなかったことがあります。3日目の朝のことです。診察室でペンライトを使うべき時に、なんとライターを点火させて患者の顔に近づけてしまいました。それほど意識は朦朧としていました。とはいえ、当時はよほどの場合以外は、忙しさの中に牧歌的な雰囲気がありました。夕方には医局でマージャンをしたり、教授がふらりと医局を訪れて、暇な医局員を焼き鳥屋に連れて行ってくださるようなこともありました。現在の医療は医師やスタッフの犠牲的義務感で成り立っていることをご理解ください。

 こんなこともありました。ある夏休みの日、朝の6時ころ自宅のチャイムが鳴りました。これから海水浴に出かけるので早く診てほしいとのことでした。こんな患者もいるんです。どう対応したかですって?断固拒否し、9時に来院するように伝えました。医者だって人間なんです。