広島市議会議員(安芸区)

吉良上野介の正しい振り仮名は?

  いい顔ふやそう。沖宗正明です。

 コロナでヨレヨレのカープとライオンズが引き分けました。何とも評価が難しい試合結果でした。

 昨日、「忠臣蔵の決算書」を読みました。あまりの面白さに数時間で読み終えました。内容は次回に書きます。

 忠臣蔵の中では吉良上野介がヒール役で登場します。わたくしも若い頃は上野介は賄賂好きな暴君だと思っていましたが、実像は異なるようです。公家との折衝を担う役職のうち、最も高い高家筆頭は生半可な人材では務まりません。嫡子である上杉綱憲が治めた米沢藩でも上野介は慕われたようです。

 

 さて、その上野介の正しい振り仮名はどうでしょうか。「こうずけのすけ」か「こうづけのすけ」か?

 ネット検索の際、「こうづけのすけ」では検索不能です。「こうずけのすけ」なら上野介と出てきます。

 古代に群馬県一帯は毛の国(けのくに)と呼ばれていました。これが上下に分けられて大宝律令の時代に「上毛野国」と「下毛野国」となりました。その後、「毛」が取れて「上野国」と「下野国」となりました。読み方はそれぞれ「かみつけのくに」「しもつけのくに」です。この場合の「つ」は「何々の」という所属を表わす意味です。つまり「かみつけ」は上側の毛の国ということです。「しもつけ」は現在でも残っていますが、一方の「かみつけ」は「こうづけ」と変化しました。上を「こう」と読むのは「上月」を「こうづき」と読むのと同様です。「こう」に続く「つ」が濁ります。

 しかし現在かな使いでは「こうずけ」と振ることになっています。わたくしは「こうづけのすけ」に拘りたいのですが難しいようです。

 ちなみに、「上毛野国」と「下毛野国」を合わせて「両毛(りょうもう)」と言います。今でも二つの地方を結ぶJR両毛線が走っています。

 さらに余談ですが、何々のを意味する「つ」については面白い記憶があります。「目白の闇将軍」と呼ばれて権勢を恣にしていた田中角栄のことを故渡部昇一は、「たのなかつすみのさかえのみこと」と呼びました。さすがに古典に通じた渡部だと感服するとともに、その呼び名の可笑しさに笑い転げました。

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