広島市議会議員(安芸区)

耐性菌による死亡が癌死を上回る日が来る。

 いい顔、ふやそう。沖宗正明です。

 医療現場では感染症は珍しいものではありません。とくに高齢者においては大きな問題です。肺炎や気管支炎のような呼吸器感染症腎盂腎炎や膀胱炎などの尿路感染症、胆嚢炎や胆管炎などの胆道感染症などがよく見られるものです。このような感染症に対しては多くの場合、抗菌剤を投与して原因となる病源菌を減少ないし消滅させます。抗菌剤は医療にとって必須といえるものです。しかし、抗菌剤を漫然と投与すると抗菌剤が効かない耐性菌という問題が起こります。

 

 先日学んだ老健医師の研修では、耐性菌による死亡は2013年には世界規模で低く見積もっても70万人です。現在の予測では2050年の癌による死亡者数は約800万人。これに対して耐性菌による死亡は1000万人となっています。その他の死因としては、交通事故120万人、糖尿病150万人、下痢性疾患140万人です。耐性菌による1000万人という数字がいかに突出しているかお分かりいただけるでしょう。 

 感染症に対して抗菌剤を投与しても全く効果がなく、死に至るということです。

 抗菌剤投与の3大原則は、1.適切な薬剤を、2.必要な場合に限り、3.適切な量と期間投与することですが、現状では抗菌剤が乱用されているという面も否定できません。現在は新型コロナが問題になっていますが、近い将来、細菌やウィルスが人類に牙をむく日が来るということです。感染症を扱う医師はこのことを念頭に置かなければなりません。