広島市議会議員(安芸区)

「番頭はん」を「ばんとうはん」と読むのは誤り

 いい顔、ふやそう。沖宗正明です。

 テレビドラマ、「番頭はんと丁稚どん」は昭和35年に始まりました。大村崑芦屋雁之助芦屋小雁茶川一郎など多彩なコメディアンが出演していました。娯楽の少なかった時代の日曜日の夕方の楽しみの一つでした。

 大阪弁の敬称である「はん」と「さん」の使い分けを調べてみました。かなりいい加減な使い方がされていることがよくわかりました。たとえば、旦那さんには「旦さん」と「旦はん」の両方が使われています。上方歌舞伎の大名跡である中村鴈治郎には「鴈治郎さん」も「鴈治郎はん」もあります。正しい使い分けは以下の通りです。

1.「イ列」、「ウ列」、「ん」で終わる言葉には「さん」を付けます。例えば、「イ列」なら「こいさん」、「森さん」。「ウ列」なら「奥さん」、「大津さん」。「ん」で終わる言葉では「御寮さん(ごりょんさん)」、「旦さん」などです。

2.「サ列」で終わる語には「さん」を付ける。「きよしさん」、「やすしさん」、「長瀬さん」、「高祖さん」などです。

3.人を表す語には「さん」を付ける。「新婚さん」、「外人さん」などです。

 

 表題の「番頭」は「ウ列」で終わる語であり、人を表す語でもあるので「ばんとうさん」でなければなりませんが、「ばんとはん」ならOKです。大村崑が「ばんとはーん」と呼びかける場面を記憶しています。同様に、「鴈治郎」に「さん」を付けるなら「がんじろうさん」であり、「はん」をつけるなら「がんじろはん」になります。落語家の「桂米朝」は「さん」なら「べいちょうさん」であり、「はん」なら「べいちょはん」となります。大阪弁の奥は深い!!!