広島市議会議員(安芸区)

江川卓はオールスター戦で10連続三振を狙っていた。

 いい顔、ふやそう。沖宗正明です。

 ときどきYouTubeを見ます。最近は江川卓の「たかされ」を楽しくみていますが、彼のピッチャーとしてのレベルの高さには驚くことばかりです。9回を完投することから逆算してピッチングを組み立て、ランナーがスコアリングポジションに行くまではセーブして投げます。もちろん牽制球も投げません。元カープ高橋慶彦が語ったところによると、江川からヒットを打ったあと盗塁して気をよくしていると、衣笠、山本浩二に投げる球が自分に投げた球と全く違うことにショックを受けたそうです。

 今のピッチャーは、球は速くてもスピードを変えてストレートを投げることをしないと述べています。分業制となり、完投を目指さなくなったからでしょう。

 

 さて、オールスター戦での連続三振は江夏の9個が最高ですが、1984年のオールスター戦に先発した江川はその上を狙っていました。これはキャッチャーを務めた中日の中尾義孝がインタビューでコメントしたことです。8連続三振を取って9人目のバッターは近鉄の大石です。簡単に2ストライクを取ったあと江川は中尾に言います。「ワンバウンドするカーブで三振を取るからパスボールして振り逃げさせてくれ」と。そうすることで10個の三振を取れると考えたそうです。うまくゆけば次のバッターにも振り逃げさせれば11個も狙えたとも語っています。残念ながらカーブが少し高く入りワンバウンドしなかったため、大石に内野ゴロを打たれました。マスコミはこぞって最後にカーブを投げたことを批判しましたが、9個を目指すならストレートで簡単に達成できたでしょう。江川のレベルはこれほどまでに高かったのです。YouTubeでも、彼の人格の素晴らしさが窺えます。ドラフトに翻弄された被害者です。なお、彼は東京六大学とノンプロを目指していたため、作新学院を卒業した時点では、どの球団が指名しても拒否するつもりだったともコメントしています(この時の指名は阪急でした)。また、ドラフトで3回1位指名されたのは自分だけだと笑いながらコメントしています。入団会見で、「興奮しないで落ち着いてやりましょう。」と述べたことも、その直前に、ある記者が聞くに堪えない罵声を浴びせたことに対して答えたことであることも初めて知りました。その罵声を報じたマスコミは一社だけだったそうです。ぜひとも「たかされ」をご覧になることをお勧めします。きっと江川卓を誤解していたことに気付くことでしょう。