広島市議会議員(安芸区)

北朝鮮の挑発行為と「カエルの楽園」

 いい顔、ふやそう。沖宗正明です。
 

 明日の原爆記念日を前に、今日は朝から市役所前で開かれた広島市原爆死没公務員追悼式の後、平和公園での韓国人原爆犠牲者慰霊祭に参列しました。
 韓国人原爆犠牲者慰霊祭では、献花する人や追悼文を読む人のすぐそばで写真を取る無神経な人が多く見られました。近くではダンスしているのか、大きな音量の音楽が流れていました。御霊に対して無礼な振る舞いが残念でした。


 先日、北朝鮮が日本の領海にミサイルを撃ち込みました。明らかな挑発であり、戦闘行為です。「戦争反対」を叫んでいればミサイルが飛んでこないと考えている人たちはどう思っているのでしょうか?
 8月1日の中国新聞には、「制裁と圧力は逆効果だ」との韓国人の意見が掲載されていました。制裁と圧力がなくても北朝鮮は挑発を繰り返すでしょうに。


 先日読んだ、百田尚樹の「カエルの楽園」を思い出しました。
 崖の上で平和に暮らしていたツチガエルの国(ナパージュ)に逃げてきた他の種類の2匹のカエルの眼を通じて語られます。
 ナパージュには「三戒」がありました。
 三戒とは、
(1) カエルを信じろ。
(2) カエルと争うな。
(3) 争うための力を持つな。です。

 
 いつの間にか崖の下から体力に勝る大型のウシガエルが上がってくるようになります。しかし、ナパージュではウシガエルに悪気はない、間違えて上がって来ただけなので、自分たちに危害を加えることはない。との意見が大勢です。 
 ウシガエルの侵略は次第にエスカレートし、ついにはツチガエルを食べ始めます。毎日その数が増えます。しかし、雄弁なツチガエルは「三戒」を守れと主張します。ウシガエルを刺激してはならないとの理由で、ナパージュを守っていた鷲を追放します。さらに、腕力の強い、仲間のツチガエルの眼をつぶし、腕を切り落とします。これでナパージュを守る力はなくなります。「三戒」を破棄しようとの声が高まったときに、進歩ガエルたちは反対を声高に叫び、「三戒」を守ります。
 それを見たウシガエルは大挙してナパージュを侵略し、手当たり次第にツチガエルを食べます。ここに至ってもなお、「報復などもってのほかだ。平和な形でナパージュをウシガエルたちに譲り渡そう」との意見が大きくなります。そして、完全にウシガエル支配下となったナパージュには過酷な運命が待っています。


 メスはウシガエルの慰みものになり、オスは奴隷になります。そうでない者はウシガエルの食糧になります。ウシガエルを擁護していた進歩ガエルたちは何とか食用でない奴隷にしてもらえました。しかし、自分を守り、奴隷になるまいとするツチガエルたちは密告を繰り返します。


 ナパージュの「三戒」は次のように変わりました。
(1) ウシガエル様を信じろ。
(2) ウシガエル様と争うな。
(3) 争うための力を持つな。


 エピローグは次のような描写で終わります。

 崖を降りて行こうとした時、林の中でいやな光景を目にしました。ウシガエルたちが一匹のツチガエルを弄んでいたのです。雨の中でウシガエルたちはツチガエルの手や足をちぎって食べ、まだ生きているツチガエルを空中に放り投げたり、ぬれた地面にたたきつけたりして笑っていました。あまりの酸鼻さに思わず顔を背けました。ウシガエルたちがこの国を占領して以来、いたるところで見られた光景ですが、何度見ても慣れることはありません。やがてウシガエルたちはいたぶることにも飽きたのか、ツチガエルを地べたに投げ捨てたまま、どこかへ行ってしまいました。


 投げ捨てられたツチガエルは、他国から逃げてきた2匹のカエルの友人のメスガエルのローラでした。手足がちぎれた状態では、もう助からないことはわかっていました。ローラは弱々しく笑いました。「大丈夫よ。ひどいことにはならないわ。だって、ナパージュには三戒があるんですもの。」それがローラの最後の言葉になりました。


 苦々しい読後感でした。しかし、ミサイルを撃ち込んだり、他国の海を勝手に埋め立てたことを違法だと判断されても悪びれることのない国が接している日本の未来に警鐘を鳴らす、百田尚樹らしい素晴らしい作品でした。ぜひご一読ください。