広島市議会議員(安芸区)

医学ひとくちメモ3(膀胱炎について)

 いい顔、ふやそう。沖宗正明です。
 今回は膀胱炎の話です。膀胱は、腎臓で作られた尿を貯めるだけの袋です。 正常なら300cc程度貯めることが出来ます。前立腺肥大症や尿道の腫瘍、結石などが原因で尿道が閉塞されて全く尿が出なくなることがあります。この状態を尿閉(にょうへい)と言います。わたくしが経験した前立腺肥大症による尿閉では何と2,000ccも貯まっていました。さて、女性は一生に一度は膀胱炎に罹ると言われます。男性に比べて尿道が短いことや、生理によって病原菌が増えやすいことも原因のひとつです。膀胱炎の原因となる菌の90%以上は大腸菌です。病原菌が尿道を逆流して膀胱へ入り、増殖して膀胱炎を起こします。3大症状は、排尿痛、頻尿、残尿感です。ひどくなると血尿が出ることもあります。膀胱の粘膜が炎症を起こすのですから痛みが起こるのは当然ですが、頻尿や残尿感は、排尿によって膀胱内の細菌を捨てようとする生体の防御反応です。ですから、痛みがあるからといって排尿を我慢することは治癒を遅れさせることになります。細菌は膀胱の中に留まる時間が長くなるほど分裂して数を増やし、炎症を進めることになるからです。治療は細菌を殺す抗菌剤や消炎鎮痛剤が主体ですが、多くの場合、薬を飲まなくても水分を十分にとって,排尿すれば3日もあれば完全に治ります。下半身を冷やさないようにすることも大切です。ただし、年に数回も膀胱炎を起こす場合は基礎となる疾患、たとえば膀胱ガン、膀胱結石、膀胱結核などが隠れていることがあるので、泌尿器科を受診すべきです。