広島市議会議員(安芸区)

麻疹が流行の処女地をなくすまで5000年かかった

 いい顔ふやそう。沖宗正明です。

 

 新型コロナウィルスが今後の社会を変えそうです。早い収束を願っています。

 最近読んだ「感染症と文明」は眼から鱗が落ちるような書でした。内容が豊富過ぎて書ききれませんが、ふたつの事柄を紹介します。

 

1.まず麻疹が流行の処女地をなくすまで5000年かかったことです。感染症が社会に定着するためには最低でも数十万人の人口が必要といわれています。それ以下の人口では流行は単発的に終わります。数十万人の人口を保つためには農耕が始まり文明が起こることが必要です。麻疹が最初の流行したのは紀元前3000年のチグリス川とユーフラテス川にはさまれたメソポタミア文明だと言われています。そこから流行を繰り返して世界に広がりました。人口動態に影響を与えるほどの大流行は1951年のグリーンランドが最後です。つまり、麻疹は5000年かけて世界に広がりました。航空機の発達などによって世界が狭まり、地球上で集団免疫を獲得したからです。

 

2.地球上から消えようとしている感染症があります。たとえば天然痘は完全に消え去りました。現在天然痘ウィルスはWHOの厳重な管理のもとにアメリカとロシアの研究所に冷凍保存されているだけです。奈良の大仏天然痘の流行の終息を願っての事でした。

 成人T細胞白血病も消え去ろうとしています。これは平均の潜伏期が50~60年という長さからです。もしもこの潜伏期が70~80年に伸びたとしたらどうでしょう。ウィルスに感染しても発病せず完全に共生し、天寿を全うできます。エイズも同様です。HIVに感染しても潜伏期が長ければ発病せず、何の害もありません。

 さらに著者は示唆に富んだことを述べています。つまり、病気を起こさないウィルスは新たなウィルスがヒト社会へ侵入することの防波堤になっている可能性があるということです。大腸菌は稀に病気を起こしますが、我々は完全に共生しています。ヒトは無菌では生きられません。

 

 今回の新型コロナウィルスもいずれ共生できるようになってほしいものです。ぜひとも一読をお勧めします。ちなみに著者の山本太郎は「れいわ新選組」とは関係ありません。

f:id:okimune:20200607172455j:plain