広島市議会議員(安芸区)

わたくしがTPPに反対する理由(4)

 いい顔、ふやそう。沖宗 正明です。
 渡り鳥の季節です。ツバメは南へ帰ってゆきましたが、この時季には北から雁や鴨などがわたってきます。子供のころ、祖母から「渡り鳥は北から長い距離を飛んで来る」という意味のことを教えてもらった記憶があります。安藤広重が描いた「月に雁」が昭和24年に8円切手として発行されました。2羽の雁が生き生きと描かれています。


 さて、きょうはTPP反対の理由として医療について書きます。
 米国は以前から日本に対して医療の門戸を開くことを要求し続けています。具体的には混合診療や、株式会社による参入です。リスクの低い医療行為、たとえばCTやMRI検査、血液検査の外部委託などの株式会社参入も含まれます。株式会社が医療を経営すれば、必ず営利目的になります。採算性の悪い分野(たとえば救急)には手を出さないでしょう。人口の少ない地方は切り捨てられます。利益を挙げないと株主から訴訟を起こされるからです。自由診療と称して、医療の質を落として価格を下げるダンピングも行われます。結果として公的医療保険の範囲が狭まり、半年も手術を待たなければならないようなことも起こります。国は、新しい治療や薬を公的医療保険適用から除外することができます。「金の切れ目が縁の切れ目」になります。しかし、これは社会保障費の増大に悩む国にとってはよいことかもしれませんが、国民にとっては決して歓迎すべきことではありません。


 自由診療の枠が拡大されれば、民間の保険会社の出番です。まさに、これも日本の金融資産を虎視眈々と狙う米国の「思うツボ」です。米国の医療は保険会社が支払いを了解しない限り治療を受けられません。医療側も保険に加入していない患者の治療を断ることもできます。マイケル・ムーア監督の映画「シッコ」には米国医療の現状に苦しむ人々が生々しく描かれていました。たとえば、事故で手の指を2本切断したが、金がなかったために1本しかつなぐことができなかった患者もいました。高額の医療費のために破産する人も急激に増加しています。



医療は国民のものです


注文した本
1.浮世女房洒落日記  ソニーマガジンズ
 江戸下町の庶民の生活を「おかみさん」の眼で描かれています。

2.日本語教室  新潮新書
 井上ひさし
3.曲がり角の日本語  岩波新書