広島市議会議員(安芸区)

こんな面でも医療崩壊が

 いい顔、ふやそう。沖宗正明です。

 コロナ禍が最盛期の頃、患者への対応ができず、医療崩壊が叫ばれました。現在は別の面で医療崩壊が進んでいます。それは治療薬の不足です。日常診療では風邪症候群や気管支炎、肺炎などの呼吸器感染症で強く感じます。一時不足していたカロナールアセトアミノフェン)などの解熱剤は入手できるようになりましたが、咳止めはまだ不足して処方できません。

 

 がん治療の現場では安価で効果もあるシスプラチンのような抗がん剤が全く入手できません。厚労省によってあまりにも薬価が下げられ過ぎたため、メーカーが製造しないからです。製造してもほとんど収益にならないほど安くなりました。新しく高価な抗がん剤を使わざるを得ません。当然、患者負担も高額になります。同様に有効な薬が価格を下げられ過ぎて製造中止になったものが数多くあります。角を矯めて牛を殺すような、厚労省の失政です。

 アメリカでも抗がん剤だけでなく、昇圧強心剤や抗不安薬抗生物質なども薬剤不足は深刻のようです。

 

 週刊新潮2月29日号の「医の中の蛙」では里見清一氏が以下のように述べています。

 最近の新薬は世界的に高価になっているが、日本では新薬の価格算定で「高い技術力に見合った価格にはならず、薬価が低く抑えられている」。その上、新たに市場に出てきた革新的な医薬品の多くが毎年の薬価引き下げの対象になる。限られた医薬品をどの患者に投与するかは倫理の領域になっている。患者を差別してはならないことは当然だが、極端に言えば、「くじ引き」や「来院した順番」などで決まるようになるかもしれない。「金持ち優先」や「若い患者優先」もあり得る。

 氏は最後にこう結んでいます。

1.すべての医療には、金がかかる。

2.すべての資源は(だから医療資源も)有限である。

3.どんなに金を使い、資源を費やしても、人間は必ず死ぬ。

 医療崩壊は確実に進んでいます。