広島市議会議員(安芸区)

薬のネット販売の危険性

 いい顔、ふやそう。沖宗 正明です。
 少しずつ寒くなってきました。明日から文教委員会の県外視察として、新潟市金沢市京都市に行きます。防寒用の衣類を持って、しっかり勉強してきます。


 楽天が運営するインターネット商店街楽天市場」で、プロ野球東北楽天優勝セールに関連して、不当表示が行われたことが明らかになりました。中には90%割引と言いながら、実際の値段よりも高いものさえありました。楽天三木谷社長は、「出店した業者が勝手にセールをした」と弁明しています。
 ネットで商品を購入するときには、常にこうしたリスクが伴います。事故が起きたときには、運営する会社は「業者が勝手にやった」と言い逃れをします。自己責任で買えということなのでしょう。


 同様に、薬のネット販売が問題になっています。政府は11月6日、市販薬(一般用医薬品)の99.8%の品目のインターネット販売を解禁する一方で、安全性に懸念がある28品目は販売を禁止したり、制限したりする方針を発表しました。約1万1千品目ある市販薬のほとんどはネット販売を認めるが、エフゲン(殺菌消毒薬)など劇薬5品目は禁止、リアップX5(発毛剤)など市販後間もない23品目は、原則3年間かけて安全性を確認できればネット販売を認めるというものです。


 これに抗議して楽天三木谷社長は、政府の産業競争力会議の民間議員を辞任することを表明しました。同様にインターネットで医薬品や健康食品を販売する「ケンコーコム」は、「医療用医薬品から一般用医薬品にスイッチされて3年間、23品目のインターネット販売をしてはならない理由はどこにあるのか」と異議を申し立てました。
 マスコミでも、「安全性が担保されれば認めるべきだ」とか、「対面販売なら安全で、ネットなら安全でない理由はない」などの議論がされています。


 わたくしは、あえて言います。こうした議論にはニセ薬の存在がスッポリ抜け落ちています。ネットで売られる薬は全て本物だという前提で議論されています。実態を知らない空論です。
 8月9日のブログでもニセ薬の危険性を書きましたが、改めてもう一度抜粋して繰り返します。



 世界で流通する医薬品の15%が偽物と言われています。効かないだけでなく、有害なものが出回っています。アジアやアフリカでは半分が偽物という国もあります。
 わたくしのクリニックでもバイアグラが効かないという相談がしばしばあります。ほとんどがネットで購入したものです。中国でコンクリートミキサーバイアグラの偽物を製造している映像を見ました。薬を製造する業者、パッケージを担当する業者など細かく分業されているようです。
 2006年パナマでは偽の咳止めシロップで350人が死亡しました。2012年パキスタンでは偽物の心臓の薬で112人が死亡しました。本家の中国では偽造薬で毎年30万人が命を落としているといわれています。マラリア薬の1/3は偽物といわれ、ヨーロッパやアメリカでも心臓薬、抗がん剤抗鬱薬が摘発されています。発展途上国ではチェックが行き行き届かないため、露店で堂々と偽薬が売られています。それを悪徳業者が大量に買い付け、ネットで販売しています。死亡などの重大な副作用が出ても追跡は不可能です。アメリカではがん治療専門病院で偽の抗がん剤が発見されて大問題になりました。わたくし自身、問屋から購入した薬が偽物と考えたことはありません。正規のルートで納入される薬は厳重に管理されていますから、ニセ薬が紛れ込む可能性はありません。事故が起こったときには追跡ができます。しかし、ネットで売られる薬は出処不詳の危険なニセ薬が混入する可能性が高いといえます。


 
 ニセ薬でしこたま設けた業者は、突然に店を閉じてネットから消え去り、追跡不能となります。そして、別の名前で登場してさらにニセ薬を売りつけます。
 そうなったとき、楽天ケンコーコムは責任を取らないでしょう。すべて消費者の自己責任とされます。国民の健康とお金が失われようとしています。食品の偽装を厳しく非難するのに、なぜ薬には寛容なのでしょう?それでもみなさんはネットで薬を買いますか?



 楽天三木谷社長が政府の産業競争力会議の民間議員を辞任する?どうぞおやめください。自分の都合のよい方向に進めているだけの政商にはお引き取りいただいて結構です。