広島市議会議員(安芸区)

居所不明児童・生徒1,183人

 いい顔、ふやそう。沖宗 正明です。
 少しずつ暖かくなっています。わたくしは毎年、寒さが緩む立春のころに、たった一日だけしか感じられない「春の匂い」を大切にしてきました。しかし、なぜか今年は感じることができませんでした。残念です。でも、もう春です。


 広島市議会では平成24年度予算特別委員会が開かれています。わたくしは、2月29日、文教関係で質問に立ち、武道の必須化と居所不明児童・生徒について質しました。4月から中学校で武道とダンスが必修化になります。ダンスは社交ダンスではなく、フォークダンスや現代風のダンスです。自己表現の手段としてとらえられ、子供たちにも評判はいいようです。わたくしは、広島県ダンススポーツ連盟の顧問を務めていますので、これを機会にダンスの裾野が広がることを願っています。


 武道は、柔道、剣道、相撲から選びます。年間12〜13時間になるようです。柔道で重大な事故が起こることが心配されますが、市としてはこれまで十分に対策を練っています。わたくしが大学時代に空手を修行した経験から言えば、年間12〜13時間では乱捕りするほどのレベルには達せず、基本を学ぶ程度にとどまるでしょう。それほど心配することはないと思います。
 先日、北京大学の研究員、加藤嘉一さん(現在の中国で最も名を知られた人物のひとりです)の講演を聴きました。それによると、彼が世界中を回って学んだことは、世界で最も尊敬されている国民は日本人、その逆が中国人だとのこと。インド人が最も好きな国は日本です。自信を失いかけている日本人ですが、これからもこんな高い評価を維持するためにも武道で日本人の心を学ぶのは重要だと思います。



 わたくしが、力を入れたのは居所不明の児童・生徒についてです。各教育委員会住民基本台帳によって、学齢に達した児童・生徒の学齢簿を作ります。学齢簿に記載されながら、1年以上所在が確認できない者を居所不明とします。昨年5月の時点で全国で1,183名に上っています。これは前年度の3.6倍です。愛知県が最多の272名、次いで東京都が200名となっており、大都市に傾向があります。広島市では18名でしたが、その後5名の行方が判明し、現在は13名が不明のままです。外国人の親に連れ去られたケースもありました。多くは、親からのDVや経済的な困窮が原因のようですが、わたくしは拉致や誘拐・監禁も心配しています。かつて新潟県で女児を10年間以上監禁した例もありました。DVの場合は警察から被害証明を受ければ、逃げた先の自治体に住民票を移しても配偶者が閲覧できないようになっています。


 
 日本はハーグ条約を批准していません。これは「国際的な子の奪取の民事面に関する条約」の通称です。一方の親が子を居住国から不法に連れ去る事件を防止する目的で締結された多国間条約です。国籍の異なる夫婦の一方が子を無断で国外に連れ去った場合、連れ去られた側の申し立てを受けて、子は連れ去られる前に居住していた国に戻されます。1980年にオランダのハーグ国際司法会議で採択され、締約国は84か国、日本は批准していませんので、逆に連れ去られる危険性も高いということになります。



  平成22年7月、3歳と1歳の子供が母親に置き去りにされて餓死した事件がありました。平成14年には転入を届けず生活困窮した母子のうち、11歳の子が餓死した例もあります。18年には宮城県で10代前半とみられる女性の頭蓋骨が、21年には兵庫県で子供の頭部が見つかっていますが、引き取り手がなく無縁仏として処理されました。



 この日本で、1,183人というのは多すぎます。広島市でこんなことが起きてはなりません。しっかりした対応を要望しておきました。