いい顔、ふやそう。沖宗 正明です。
最近、朗読にハマッています。当たり前のことですが、読書が視覚に頼るのに対して朗読は聴覚です。そこに読書とは違った面白さがあります。以前読んだ時と異なる感動も味わえます。菊池寛作の「恩讐の彼方に」では林隆三の朗読力に感銘を受けたことは以前に書いた通りです。昨日と今日、松本清張作の「二階」と「張り込み」を有川博の朗読で、森鴎外作の「阿部一族」を若山弦蔵の朗読で聞きました。「阿部一族」は高校の時に読んだ記憶がありますが、大きな感動を覚えていません。しかし、今回は殉死ということの厳しさや奥深さがひしひしと伝わってきました。若山弦蔵の重厚な声も迫力があります。
朗読を聞くようになって改めて気づいたことがあります。作者の文筆力です。たとえば、松本清張の「張り込み」では接続詞が皆無です。それが逆に畳みかけるような迫力となっています。菊池寛作の「恩讐の彼方に」では、それまで述べてきたこと相反するときに用いる接続詞である「しかし」や「だが」が全く使われていません。すべて「が」で統一されています。これも耳に心地よく響きます。森鴎外作の「阿部一族」では、ただただ鴎外の格調高い文筆力に感服です。見事というほかありません。陸軍軍医中将、森林太郎殿に敬礼!!!
新たに購入した朗読CD ( )内は原作者、◎は朗読者
1.だらだら坂 (向田邦子) ◎渡辺美佐子
2.大根の月 (向田邦子) ◎栗原小巻
どちらも「思い出トランプ」の作品です。
3.ふしぎ工房症候群 (竹内葵) ◎宮野真守
これは初めて目にした作品ですが、「一日だけのラブストーリー」という副題が気に入りました。バイク事故で死んだ青年が一日だけ人間に戻ることを許される。そんなストーリーです。年齢とともに「忘れていた何か」を思い出せるでしょうか?
新たに購入した本
1.「神楽坂純愛」 さくら舎
田中角栄と神楽坂の人気芸者辻和子の秘話。
2.「あの世にもっていくにはもったいない 陳平ここだけの話」 青春出版社
野末陳平と永六輔、青島幸男、野坂昭如、大橋巨泉、立川談志、田中角栄、中曽根康弘、本田宗一郎たちの交遊録。名前を見るだけでも楽しそう。