広島市議会議員(安芸区)

反貧困ネットワーク広島

 いい顔、ふやそう。沖宗 正明です。
 立春を過ぎたとはいえ、まだ寒さが続いています。厳しい寒さの中にも春の息吹を感じる、「早春」や「春浅し」という季語が実感される時季です。山では蕗の薹(ふきのとう)が頭をもたげていることでしょう。


 5日(日曜日)、原爆資料館の地下メモリアルホールで開かれた「反貧困ネットワーク広島」の3周年記念講演会に出席しました。講師は日本弁護士会会長の宇都宮健児さんです。宇都宮弁護士は、豊田商事オウム真理教サラ金のグレーゾーン撤廃や年越し派遣村などで有名な方です。全国で200万人を突破した生活保護ですが、保護世帯以下の収入で生活する予備軍や、東日本大震災復興の陰で賃金をピンハネされる下請け労働者の実態が紹介されました。被曝の危険を伴う下請け労働者には8〜10万円の日当が支払われているはずですが、ヤクザや手配師ピンハネし、実際に支払われるのは8000円〜1万円だそうです。
 わが国の脆弱な社会保障制度、市場原理主義的な国の政策が、地縁・血縁社会を崩壊させ、貧困と格差を拡大させた。貧困は人権問題である。個人が孤立しない「思いやり」「助け合い」「支え合い」のある社会を作らなくてはならない、との趣旨の講演でした。阪神淡路大震災から復興した神戸市長田区にはビルが立ち並び、もともとの古い情緒のある街並みが消えてしまった。復興の理念は「人間の復興」であるべきだと主張されました。


 「ルポ 貧困大国アメリカ(岩波新書)」、「ルポ 貧困大国アメリカ(同)」、「子どもの貧困ー日本の不公平を考える(同)」などの本の紹介もありました。わたくしは、すでにこの3冊は読んでいますが、衝撃的な内容です。国民の9割が自分が幸福だと考えているブータンとの比較が印象的でした。宇都宮弁護士は、ご自身が日本弁護士会長の選挙に立候補している多忙な中での来広でした。講演に先立って控室でお会いしましたが、柔和なお人柄がしのばれる方でした。