広島市議会議員(安芸区)

危うい広島市の危機管理体制

 いい顔、ふやそう。沖宗 正明です。


 一昨日から9月定例会の一般質問が続いています。最も大きな争点は8月20日の豪雨による土砂災害です。

 
 市長の答弁の要旨は以下のような内容でした。
「自分の行動は、地域防災計画に沿ったものである。国、県、市の連携はうまく取れていた。しかし、別の行動、対応が取れたのではないかとの指摘は真摯に受け止める。検証部会を立ち上げたのでその分析を待ちたい。」というものでした。


 知事が県庁内に設置された災害対策本部に登庁したのは午前5時です。市長の登庁は午前7時15分でした。安佐南区安佐北区で死者が出た後も公舎で「寝たり起きたりしながら、電話で指示を伝えたので支障はない。7時過ぎに、身の安全を図りながら登庁した。」とも答えました。
 電話での指示の内容は、午前5時に出された避難勧告を了承した、午前6時25分には自衛隊への災害派遣要請を了承したというものです。あくまで報告の了承でした。
 しかも、消防局長の答弁では、避難勧告と自衛隊派遣要請の報告は消防局長から市長秘書を通じて行われ、その了承も市長から秘書を通じて消防局長に伝えられたとのことです。市民が犠牲になっているのに、なぜこんな伝言ゲームをするのでしょうか?市長が直接に消防局長から事情を聴いた上で了承するのが自然でしょう。


 わが会派の伊藤議員(安佐北区)は、週間朝日9月19号を取り上げました。この記事には次のような内容でした。
 市長は災害前日に地元経済界と深酒をしたために寝過ごした。メディアに問い詰められると、「私が寝たり、起きたりしてはいけないとマニュアルに書いてはいない」と逆ギレした。広島市は防災担当の課を廃止した。市民からも松井市長の人災だと言われている。

 この記事について市長は事実無根だと答弁しました。これだけのことを書かれても名誉棄損で訴える考えはないのでしょう。


 市長の登庁が遅れたことについて、わが会派の馬庭議員(中区)は「市長には危機意識が足りない。電話での指示では士気が上がるはずがない。午前7時ころには中区はほとんど雨が降っていなかった。答弁は嘘である。」と追求しました。


 また、児玉議員(佐伯区)は質問の中で、「広島市基本計画には、災害に強いまちづくりを進めると書いてあるにも拘わらず、平成11年6月の豪雨災害以降、何らの対策も講じていない」と非難しました。
 担当局長の答弁は「今回の災害不踏まえて、これから研究してまいります」でした。児玉議員は、これから研究するということは、これまで市民をだましたことになると厳しい指摘をしました。


 松井市長が就任して1年後の平成24年4月に市長部局にあった危機管理課を廃止して、消防局内に危機管理部を設置しました。しかし、危機管理部は主に災害が起こる前の段階を担当するものであり、実際に災害が起こったときの対応を担当するものとは言えません。


 今回の一般質問で何人かの議員が指摘したのは、松井市長の危機管理能力と危機意識の低さでした。