いい顔、ふやそう。沖宗 正明です。
へき地で医療に力を尽くしている医師をたたえる兵庫県養父市の「第1回やぶ医者大賞」の表彰式が13日に行われました。
受賞者は広島県北広島町の雄鹿原(おがわら)診療所長、東條環樹(たまき)さん(42)と山口県萩市の国民健康保険むつみ診療所長、前川恭子さん(46)さんの二人です。広瀬栄市長から「やぶ医者の証」と奨励金50万円が贈呈されました。
東條さんは、入院施設がなく高齢化率が4割を超す人口約2500人の中山間地域で診療に従事し、病院ではなく、自宅や福祉施設で穏やかに生涯を終えるための看取りに取り組んできました。
講演では、看取りは医療従事者が主役ではなく、患者と家族、様々な職種のスタッフと連携し、思いを共有することで初めて可能になることを力説。「これが田舎での先進医療。看取りの文化は都市部や全国にも広がっていく」と話しました。
前川さんは人口約1600人の地区で住民と交流を深めながら、「診察に必要」と時には筋力トレーニングや発声練習にも取り組んだ歩みをユーモアを交えて振り返りました。育児との両立で悩んだこともあったといい、「受賞で心が癒やされた」と語りました。
江戸時代の俳人の松尾芭蕉の弟子である森川許六(もりかわきょりく)が編纂した「風俗文選(ふうぞくもんぜん)」という俳文集の中には「薮医者の解」という一節があり、『世の中で「薮医者」という表現は、本来名医を現す言葉であって、今言われている下手な医者のことではない。ある名医が但馬(たじま)の養父(やぶ)という所にひっそりと隠れるように住んでいて・・・・。』と書かれています。
養父市では、「薮医者の語源が、養父の名医」であることにちなみ、この度、名医の郷として「やぶ医者大賞」を創設しました。へき地で頑張っている若手医師にスポットを当て顕彰することにより、若手医師を育てるとともに、へき地の医療に携わることの魅力を発信し、へき地における医師の確保と地域医療の発展に寄与することを目的としています。
やぶ医者のイメージが変わるかもしれませんね。