広島市議会議員(安芸区)

一般質問に登壇(4)歯科健診について

 いい顔、ふやそう。沖宗正明です。朝夕は少し寒くなってきました。
 今日は10月1日に登壇した一般質問の4番目、歯科検診についてです。みなさんは「不治の病」をいう言葉からどんな病気を連想するでしょうか。戦後しばらくまでは「結核」がその地位にありました。最近では「がん」が代表的でしたが、「結核」は抗生物質の進歩で、また「がん」も外科治療や化学療法の進歩で必ずしも「不治の病」ではなくなりました。しかし、過去も現在も間違いなく「虫歯」は「不治の病」です。歯が侵食されると決して自然治癒はありません。だからこそ予防が大切です。
 広島県の歯科医療は全国でトップクラスの成績を上げています。例えば2007年の虫歯発生率を見ると、幼稚園児は全国で最低(つまり最も優秀)となるなど、各世代とも全国平均を下回っています。しかし、全国最低の虫歯発生率といっても、45.4%であり、全国で下から2番目の発生率である中学生、高校生はそれぞれ47.6%、57.2%であり、他県の状況は推して知るべしです。いかに虫歯が国民の健康を蝕んでいるかがわかります。また、35歳以上の虫歯発生率は調査年度ごとに増加しています。これは成人の口腔保健の法的基盤が極めて貧弱であり、定期管理という視点が抜け落ちていることにも原因があります。歯周病についてはさらに悲惨な結果です。平成17年度疾患実態調査によると、25歳で74.7%、30歳で80.3%が歯周病を有しています。とくに80歳以上に限れば歯周病のないのはわずかに2.3%となっています。これを防ぐためには予防が重要であり、現在の節目年齢健診の対象を広げることが必要と考えます。特に歯周病については20歳からの健診が必要です。現在、本市の節目年齢歯科健診の対象者は広島市に住所を有する満40歳、50歳、60歳、70歳の者となっており、今年度の当初予算では1,975万円が計上されています。自己負担は1,300円です。しかし、受診率を見ると、平成13年度の4.21%から徐々に上がっているとは言え、平成19年度は8.02%でしかありません。対象者6万3,166人のうち、受診したのはわずかに5,066人です。さらに驚くことは、この低い数字でも他の政令市と比較すると優秀であるということです。ちなみに京都市の0.08%を筆頭に、静岡市の0.3%、札幌市の0.8%、さいたま市の2.6%など悲惨な数字が並んでいます。本市では健診の案内を郵送し、市歯科医師会の協力を仰ぐなど受診率向上に努力していますが、現状の受診率に満足することなく、さらに受診率を上げる方策を考えなくてはなりません。健康な高齢者は歯や口腔機能が優れていることが証明されています。亡くなった伊藤稲造元市議会副議長は80歳を過ぎても全く虫歯がありませんでした。歯が丈夫であればしっかりと噛むことができ、消化器の負担を軽くし、脳に刺激を与え、脳の老化防止につながります。残存歯が多いほど医療費が低いという統計があり、歯の健康の重要性をさらに認識すべきだと思います。8020、つまり80歳で20本の歯を残す運動が進められています。80歳で20本の自前の歯があれば何とか健康を維持できるというものです。

 (質問)成人式を迎える若者たちに無料に歯科健診受診券を配るのはいかがでしょうか。また、満30歳も健診の対象に入れるべきと考えますがいかがでしょうか。
さらに、自己負担の金額を下げることはいかがでしょうか。
 (答弁)節目年令健診の健診費用は、国の補助基準どおり、受診者一人当たり4,227円である。このうち、1,300円を受診者の負担とし、残りを公費負担としている。ただし、所得の低い人や生活保護世帯は自己負担は免除されている。自己負担の軽減については、自己負担オ軽減を実施している都市の受診率が必ずしも高くないこと、また特定健診やがん検診など、他の健康診査における自己負担との均衡を考慮する必要があるなどから慎重に判断する必要がある。
 節目年令健診の拡大は検討に値する。20歳、30歳については国の補助がないことなどの財政上の課題があり、段階的に拡大することを検討する。