広島市議会議員(安芸区)

子どもの権利条例

 いい顔、ふやそう。沖宗正明です。
 昨日の雨の湿気を含んでやや蒸し暑い日です。今日はわたくしが所属する「広島市子育て支援対策等特別委員会」に、山梨学院大学大学院の荒牧重人(あらまきしげと)教授をお招きして「川崎市子どもの権利に関する条例について」と題してご講演いただきました。荒巻教授は「川崎市子どもの権利委員会」の委員長、「川崎市子ども権利条例調査研究委員会」委員をお務めの方です。講演の内容の一部をご紹介します。
1.子どもは今の社会を映し出す鏡であるとともに、未来の社会を映し出す鏡でもある。
 子どもは「おとな」をよく見ている。
2.子どもの自己肯定感・自尊感情が低下してきている。
 自分自身を大切にしない子ども、自分のことを好きでない子どもが増えている。自己を肯定しない子どもほどいじめを我慢する傾向がある。
3.子どもの思い・願いとおとなの考え・行動にズレがある。
 子どもが最も安心できる場所は自分の部屋、次いで家庭。学校も友人がいるので安らげる場所である。子どもの思いや声をしっかりと受け止めなければならない。親が勝手に「理想の子ども像」を作ってはいないか。
4.お互いに相手の悪口を言い合うことは、子ども主体の視点が欠けている。
 子どもがダメ、親・家庭がダメ、学校・教師がダメ、地域がダメ。これでは何の解決にもならない。
5.子どもが気に入らないことがあれば、教師に対しても素直にその思いを発信すれば、教師でも謝り、改めるものだ。
などなどでした。
 わたくしは下記の質問をしました。
(質問1)学校ではモンスターピアレント、病院ではモンスターペイシャントなど自分の権利ばかり主張する利己主義者が増えている。子どもの権利ばかりを強調すると、義務がおろそかになるのではないか。
(回答1)子どもの権利に対応する義務は子どもにあるのではなく、国・自治体・教職員・親・保護者が負う。

 講演会は議論の場ではないので、質問だけにとどめましたが、わたくしはこの回答について全く同意できません。義務のない権利はありえないと考えます。義務は国・自治体・教職員・親・保護者が負うなら、子どもの身勝手を助長するだけではないでしょうか。

(質問2)上記5によると教師と生徒が対等になってしまうが、どのようにお考えか。
(回答2)教師と生徒が対等とは思わないが、一方的な上下関係になってはならない。子どもの発信の場を与えてやりたい。

 この回答にも同意できませんでした。教師とは子どもを指導する尊敬すべき存在です。謝らせるような関係ではありません。もしも、教師が間違っていたとしたら、親や校長などを交えて向き合うべきでしょう。
 また、子どもの救済制度として、川崎市では子どもオンブズパーソンという制度を導入しています。オンブズパーソンが教育現場に過度の介入をすることが問題になっています。
 さらに、川崎市の条例では「親等による子どもの権利の保障」、「養育の支援」など家庭内のことまで謳っています。
 広島市では来年度に向けて、「子どもの権利条例」の制定を目指しているようです。わたくしは子どもの権利に関しては改めて条例で制定するものではなく、すでにある青少年健全育成計画などで対応すべきであると思っています。親や家庭の努めるべきことまで条例が介入すべきではないと思います。いずれにしても、これから全市民が充分議論すべき問題です。