広島市議会議員(安芸区)

一般質問に登壇(2)使命を終えた条例について

 いい顔、ふやそう。沖宗正明です。昨日は秋晴れの日曜日でした。わたくしは下蒲刈島朝鮮通信使を再現したイベントの見学に行きました。これについては後日書きます。
 10月1日の一般質問の2つめの質問は「使命を終えた条例について」です。
条例も古くなるとホコリを被り、意味を失っているものがあります。わたくしは「広島市例規類集」全5巻をチェックしました。重ねると厚さは42センチメートルありました。
面白い条例が残っていました。
 (質問1)昭和27年5月27日制定の条例第36号「日本国との平和条約の効力発生に伴う職員の懲戒免除及び収入役等の賠償の責任に基づく債務の免除に関する条例」は昭和27年4月28日に発効したサンフランシスコ講和条約により、日本が独立を回復したことによる恩赦に関連したものです。昭和27年4月28日前の行為について懲戒処分を受けた職員について、将来に向かってその懲戒を免除し、同日前の行為についても、まだ懲戒を受けていないものに対しては懲戒を行わないとする内容です。また、賠償の責任に基づく債務で昭和27年4月28日前における事由によるものは将来に向かってその債務を免除することも謳われております。我が国が独立を回復する前の職員の罪を許すという誠に寛大な条例です。
 同様に、平成元年3月9日制定の条例第6号「昭和天皇崩御に伴う職員の懲戒免除及び職員の賠償責任に基づく債務の免除に関する条例」も昭和64年1月7日前の行為について、平成元年2月24日前に減給や懲戒を受けた者に対して、将来に向かってその懲戒を免除する内容です。平成元年1月7日は今上天皇即位の日であり、同2月24日は大喪の礼が行われた日です。
 このふたつの条例に係わるような懲戒や債務はすでに意味を失っています。これらふたつの条例の根拠となった法令は今でも廃止されていませんが、本市にとってはもはや存在意義を失ったと思いますがいかがでしょうか。
(答弁1)2つの条例ともに最近10年間に適用された例はない。

(質問2)昭和46年3月31日制定の条例第30号「安佐郡沼田町の編入に伴う広島市国民健康保険条例の適用の特例に関する条例」。これは旧安佐郡沼田町国民健康保険の被保険者に係る保険給付及び被保険者の適用についての特例を定めたものです。同様の内容のものが旧安佐郡可部町祇園町安古市町佐東町、高陽町、安芸郡瀬野川町熊野跡村、矢野町、船越町、佐伯郡五日市町編入に関しても残っています。
 昭和47年7月21日制定の条例第76号「安佐郡祇園町編入に伴う広島市敬老年金条例の適用の特例等に関する条例」。この条例は、編入に伴う同町の住民に広島市敬老金条例の適用をするための条例です。この条例の第3条2項には「昭和47年7月1日から同年12月31日までの間に係る分に限るものとする」となっていますが、時限立法ではないため、現在も効力を持っています。同様の条例は旧安芸郡船越町の養老年金についても残っています。
昭和46年3月31日制定条例第29号「安佐郡沼田町の編入に伴う広島市市税条例等の適用の特例に関する条例」は市民税と都市計画税軽自動車税の特例を定めたものです。同様の条例が旧安佐郡安佐町祇園町可部町についても残っています。
 また、昭和60年2月27日制定の条例第16号「旧五日市町生業資金貸付条例の規定に基づく生業資金の経過措置に関する条例」。生業とは生きる業と書きますが、旧佐伯郡五日市町の合併に伴い、昭和60年3月20日前に旧条例の規定に基づきなされた借受けの申込みに係る生業資金の貸付及び償還については旧条例によるというものです。この条例によって新たな貸付が行われる可能性はなく、この条例も使命を終えています。五日市町編入に関しては、同日制定の「旧五日市町住宅新築等及び宅地購入資金貸付条例等の規定に基づく住宅新築資金等の経過措置に関する条例」も残っています。
そのほか編入に伴う特例を定めた条例で、ホコリを被り、もはやその意義を失ったと思われる条例は、まさに「枚挙に暇がない」様相を呈しています。
これらの条例が最近10年間に適用された例があるのでしょうか。また、将来にわたって適用される可能性があるのでしょうか。
もし、適用された例がなく将来適用される可能性がないのなら、条例を残す意味があるのでしょうか。
 さらに、市はこれまでこうした条例の点検を行ったことがあるのでしょうか。
点検をしていないならば、市の行政の怠慢というべきですが、その責任の一端は立法府たる議会も逃れ得ないものとも考えています。
(答弁2)適用された例があるものとないものがある。ないものについては条例の廃止も検討する。これまでに条例の洗い直しを行ったことはない。

 この質問は専門的過ぎて市民の方にはあまり興味がないかも知れませんね。