広島市議会議員(安芸区)

パリで地下足袋が流行です。

 いい顔、ふやそう。沖宗正明です。
 厳しい残暑のおかげでビールが美味いと感謝しています。


 近頃パリでは地下足袋が流行しています。地下足袋のことを「忍者靴」と呼ぶそうです。ゴム底のため、歩きやすいと好評です。また、模様もカラフルでパリジェンヌに大人気のようです。

 
 わたくしは、19歳のとき、親にいえない失敗をしたため、大阪府寝屋川市で「とび職」をしたことがあります。横に広がったタンクズボンに地下足袋で毎日を送ったものです。当時、万国博覧会が終わったばかりの千里丘陵によく行きました。千里丘陵は強い風が吹くところで、レッカーで下ろす鉄骨が風に揺れてボルトを通す穴がなかなか合わずに苦労しました。当時の「とび職」の世界は荒くれ男の世界で、背中に絵を書いている人、執行猶予中の人などいろんな顔ぶれでした。手の指が何本も欠損している人もいました。いまでは考えられませんが、自分で指を切断して労災保険を受け取ることもよくあったようです。



 仕事を終えてよく銭湯に行きました。浴室に入って最初にすることは、捨てられている石鹸を拾うことです。千里の強風に曝された伸ばし放題の髪は石鹸でいくら洗っても全く櫛が通りませんでした(リンスやコンディショナーなどの存在すら知りませんでした)。 
 「とび職」を始めて2日目に音を上げて退職を申し入れたとき、親方は「いま帰れば負け犬になって後悔することになる。最後まで頑張れ」ときつく叱ってくれました。あのときの親方の言葉には感謝しています。19歳のわたくしには全くの別世界でしたが、金を貯めるため、後悔しないために頑張ったものです。その経験は得がたいものでした。


 いま、建設中の東京スカイタワーや東京タワー、瀬戸大橋の建設に当たった「とび職」の技術は日本が世界に誇るべきものです。
 「とび職」をしていた当時の写真はわたくしにとって宝物です。いまでも時折取り出して眺めています。そんな地下足袋がパリで流行するとはなんとも驚きです。