広島市議会議員(安芸区)

米国はこれ以上中国を甘やかさない

 いい顔、ふやそう。沖宗 正明です。
 台風一過、さわやかな日差しです。昨日の、京都嵐山の渡月橋の光景には驚きました。
 昨日は広島修道大学で行われた第51回中四国大学空手道選手権大会を久しぶりに観戦しました。わたくしは岡山大学空手道部に在籍していたとき、2年間にわたって中四国学生空手道連盟の委員長を務めました。当時と比べて出場校はほぼ半減しており、一抹の寂しさを感じました。男子の部は1チーム5名ですが、出場しても選手が3人しかいない大学もありました。わたくしが現役時代は岡山大学は優勝候補に名を連ねていましたが、現在は近畿大学工学部が別格の強さ誇っています。
 
 女子でもこの迫力。上段突きが決まった瞬間。スピードが速過ぎて、いい写真が取れませんでした。



 前回、コメントをいただいた「嫌米」様への回答として、わたくしが書いた「米国はこれ以上中国を甘やかさない」を掲載します。これは安芸地区医師会月報平成18年9月号に寄稿したものです。


 先日、退任する外務省中国課長が、現在の米中関係はかつてないほど良好であるとコメントした。しかし額面どおりに受け取るわけにはいかない。現実には、米ソ冷戦時代よりはるかに米中間の軍事的緊張は高まっており、後戻りできないところまで来ている。米国はもはや中国を甘やかさない。というより敵とみなしている。それを少しく述べてみる。
去る6月19日から23日まで、アメリカ軍はグァム島で平時においては史上最大の軍事演習を行った。グァム島にある二つの空軍基地のひとつ、アンダーソン基地には1000機の戦闘機が集結した(わが国の自衛隊の戦闘機の総数は約200機)。また太平洋に展開する、ロナルド・レーガン、キティ・ホーク、エイブラハム・リンカーン3隻の原子力空母も艦載機200機とともに参集した。さらに原子力潜水艦10隻も参加した。特筆すべきはステルス型のB2爆撃機4機が参加したことである。ステルス型爆撃機は特殊塗料によりレーダーに映らず、エンジンから発する音や熱が極端に小さいため、熱線を追尾する対空火器が役立たない。「暗闇の暗殺者」と呼ばれて恐れられている所以である。これらすべてが中国を仮想敵とした軍事演習のために集結したのである。
現在、中国には射程9000キロ(米国本土のすべてが射程に入る)で、米国のミニッツマンミサイルと同等の破壊力を持つICBM(大陸間弾道弾)JL2が18発配備されている。中国のICBM北朝鮮の素朴な(?)ミサイルと異なり固形燃料を使用するため、燃料を充填する時間が必要ないので、発射ボタンを押せば3−4時間で米国本土に到着する。これに対して米国の基本戦略は1発も打たせないことに尽きる。そのために、米海軍の原子力潜水艦2隻が配備されている。このうちペンシルベニアには24発のトライデント型ミサイルが積まれており、それぞれのミサイルは8個の弾頭を持っている。そしてそれぞれの弾頭には広島・長崎型原爆の600−800倍の破壊力を持つ10個の原爆が搭載されている。これらの核爆弾を日本海から発射すれば約8分で北京に着弾する。破壊力は推して知るべし。先に述べた軍事演習に米国は中国軍幹部を招いている。日本のマスコミはこれを評して、「米中はパートナーとしてコミュニケーションがとれている」などと能天気なコメントを発していた。とんでもない。米国の本意は、自らの戦力の優位さを見せつけ、手順を示すことによって偶発戦争を防ぐことにある。
さて、今年4月20日、胡 錦濤主席がワシントンを訪問したときのブッシュ大統領の対応は興味深かった。中国側としてはソ連邦崩壊後の2大国として米中の蜜月関係を全世界にアピールするためになんとしても国賓待遇を得たかった。そのための中国側の、米国政府高官や経済界への攻勢はすさまじく、「北京が空になった」とまでいわれた。米国が外国の客を国賓として接遇するときには以下の2点が不可欠である。つまり、(1)ホワイトハウスの玄関での元首に対する21発の礼砲(閣僚には19発)、(2)ホワイトハウスイーストルームでの晩餐会である。大平、中曽根両総理はこの形式で国賓としての対応を受けた。胡 錦濤に対してブッシュはどう対応したか?。まず礼砲はなし。食事はオーバルルームと呼ばれる大統領執務室(つまり仕事場)での昼食であった。しかもサンドウィッチが一切れであったといわれる。さらにお茶を希望した胡 錦濤に対してコーヒーを出したとも言われる。胡 錦濤の落胆はいかばかりであったろうか?。その後6月29日にホワイトハウスを訪問した小泉総理に対しての国賓待遇は、中国に対するあからさまな当てつけであろう。米国はもはや中国をパートナーとは見なしていないことを全世界に発信したのである。クリントン時代に米国は極端に中国を甘やかした。クリントン人民元を6割に切り下げたために、安い人民元が世界を席捲し、現在の貿易摩擦を引き起こしている。また、軍備拡張も黙認してきた。ミサイル技術までも供与した。ただし、大目に見てもらえたのは中国が弱かったときの話である。中国は経済的にも軍事的にも大国になった。大国になれば、かつて日本や西ドイツがそうであったように人道的、民主的、資本主義的国家に成長して、西側諸国に貢献するであろうと思われていた。だからこそ中国が北朝鮮を属国化しても黙認してきた。6カ国協議もその延長にあった。しかし、中国は米国の期待を裏切った。非人道的、非民主的、非資本主義的な国家のままであり、石油をがぶ飲みし、環境破壊を世界に及ぼし、とても米国が手を組める相手ではない。というより、中国はもはや米国にとって軍事的脅威に他ならない存在となった。
わが国の外務省や政治家の中には、中国と仲良くすれば貿易はうまく行き、平和を保てると勘違いしている輩がいる。先ごろ亡くなったが、中国人の美人スパイに手玉に取られたポマードをつけたハンサムな元総理・まだ生きているが、小泉総理のご意見番気取りの肥った元総理・既に亡くなった、金の延べ棒とワリシンを溜め込んだ元副総理・自分の選挙区に江 沢民の銅像を作ろうとした元閣僚・中国行きの飛行機が悪天候で台湾に緊急着陸したとき機外に出ず、中国に着いて「台湾の土を踏まなかったこと」を中国政府高官に自慢した現衆議院議長など、媚中派とか熱中症とか揶揄される政治家など枚挙に暇がない。 
感謝もされずに多額のODAを提供し、内政干渉されても反論せず、中国と仲良くでき、日中貿易に影響が出なければいいと、尖閣列島を不法に支配されても黙認するのであろうか。上海総領事館の職員が中国から脅迫されて自殺しても、ときの川口順子外務大臣は総理に報告しなかった。中国がポスト小泉に親中派の総理を望むのは当然であろう。このような国と日米中が二等辺三角形になれるわけがない。小沢一郎民主党代表は北京に行き、小泉総理が米国一辺倒であると批判した。これで米国の保守派は小沢一郎を中国を利する敵と見なしたに違いない。では、日米安保条約はわれわれを守ってくれるのか?。日米安保条約第5条第3項には、「日本が第3国と戦争状態になったとき」には米国はわが国を助けることが謳われている。ということは、尖閣列島竹島が盗まれても、北方領土で日本人が多数殺されても、戦争ではないので米国は助けてはくれないことになる。冷たい目のライス国務長官はロシア専門家であり、日本嫌いである。というより、国際政治を動かす力と意欲のない日本を無視している。ポストブッシュはマケイン上院議員が有力であろうが、万一、民主党の大統領(たとえばヒラリー・クリントン)が就任すれば、中国と手を組んでの新たな日本たたきが始まるであろう。
さて、台湾に目を移そう。南北朝鮮を味方につけたあと、中国にとって目障りなのは台湾と日本である。台湾海峡は幅300キロ。台湾の対岸、福建省にはすでに700発の  DF15ミサイルが配備されている。常々台湾は中国の領土だと主張している中国は、台湾を征服すれば国内の雇用や食料問題が解決すると国民に思わせて軍拡に走ってきた。力ずくでも台湾を占領しなくては国内の世論が黙ってはいないであろう。着々と台湾侵攻の準備を行っている。これに対して台湾も指をくわえているわけではない。米国のF16戦闘機を500機購入することを決定した(わが国の戦闘機はひとつ古い型のF15)。おそらく1機150億円以上であろう。また、米国も常々台湾を守ると公言している。仮にも中国の台湾侵攻を防ぐことが出来なかったら、米国の威信は地に落ち、ドルは暴落するであろう。。
こんな状況下で冒頭の外務省課長の呆れたコメントである。この平和ボケの日本はどうなるのだろうか?。

瀬野川医師会 沖宗 正明

 注文した本
野口健が見た世界」 集英社インターナショナル
  有名な登山家が登山にまつわる裏の部分を描いた写真集です