広島市議会議員(安芸区)

裁判員制度の問題点(5)

 いい顔、ふやそう。沖宗正明です。
 朝夕は涼しくなりました。そろそろ虫の鳴き声が聞こえる頃になります。
 さて、今日は裁判員制度の問題点として憲法第38条にも違反する可能性を指摘します。
 憲法第38条には、「何人も、自己に不利益な供述を強要されない」とあります。裁判員候補者予定者に選ばれた場合に、裁判所からの調査票が送られてきます。調査票の内容は現時点でもまだ明らかにされていません。しかし、通り一遍の簡単なものではないことは予想できます。わたくしは、アメリカの陪審員候補者に送られる調査票の内容を読み、大きなショックを受けました。その内容の一部をご紹介します。
(1)基本情報として、氏名、年齢、生年月日、人種、住所、年金番号、現住所の居住年数。
(2)職業として、勤務先、肩書、職種、所得、勤務時間、勤務年数、上司の名前、過去10年間の職歴・転職回数など。
(3)家族構成などとして、既婚か未婚か、離婚経験の有無とその回数、未亡人かどうか。
 同居者については名前・勤務先・肩書・職歴・所得。
 子どもについては名前・性別・住所・勤務先・離婚歴。兄弟姉妹についても同様。
(4)学歴として、学歴、専攻、取得単位。配偶者についても同様の質問。
(5)信仰については宗旨、参詣先とその頻度、最近の宗旨変更の有無とその理由、過去の信仰歴、自分の哲学または気に入っている言葉。配偶者についても同様の質問。
(6)政治思想については好きな政党、保守化中道かリベラルか、過去の政治活動経験。配偶者についても同様の質問。
(7)健康状態については障害や病気、治療内容、自分や家族などが家族関係や暴力問題などでカウンセリングを受けているか、家族に知的障害者はいるか。
(8)死刑問題については死刑を必要と思うか。
(9)習慣などについては車、趣味、好きな映画、好きなテレビ番組、読んだ本、購読雑誌、尊敬する公人5名。
(10)刑事事件体験などについては身近な者が告発や逮捕されたり有罪判決を受けたことはないか、自分や身近な者が弁護士を雇ったことがあればその内容の詳細と弁護士の名前、裁判所に行った経験。
(11)判断の公平性については対象事件についてメディアを通じてどういう事実を知ったか、被告人やその家族を知っているか、裁判に集中できない事情を抱えていないか、裁判予定日に当地を離れるよていはないか、あればその詳細。この質問票に対する感想など。
 以上はアメリカの陪審員制度における質問票ですが、ここまで詳しく答えさせられます。日本の裁判員制度でもかなりの質問がなされることは予想できます。プライバシーなどなくなります。裁判員候補者予定者に選ばれただけで、その人は丸裸にされます。その上、この質問状に対して虚偽の答えをすれば罰せられることになっています。
 国民の司法参加という大儀名分のもとに国民の個人情報を国と裁判所が強制的に手に入れ、毎年候補者だけで36万人、配偶者の分を含めると60万人程度の個人情報が蓄積されてゆきます。これがわたくしたちが望んだ「国民の司法への参加」なのでしょうか。
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