広島市議会議員(安芸区)

天下の悪法=裁判員制度と生類憐みの令

 いい顔、ふやそう。沖宗正明です。
 昨日、来年の裁判員候補者に対して選ばれた旨の通知書が発送されました。約350人に1人がただコンピューターによる「くじ」で選ばれたものです。この中から裁判ごとに6名の裁判員と補充院1名が選ばれて裁判に参加することになります。
 死刑や無期懲役に相当するような凶悪犯罪の裁判を担当します。秋葉原の無差別殺人事件や先の元厚生事務次官の殺人事件などが相当します。素人が悲惨な殺人事件の現場の写真を見せられ、事件の詳細な経過を聞かされます。日常、血を見ることがない一般市民がとても耐えられる状況ではありません。法は国民を守るためにあるべきです。裁判員制度は国民に多大の精神的、肉体的、経済的損害を与えます。まさに、天下の悪法です。徳川五代将軍綱吉による「生類憐みの令」にも匹敵するような愚かな法です。来年5月施行されたら国民の間から非難の声が上がるでしょう。また、各地で裁判員制度憲法違反であるとの訴訟が起こるでしょう。しかし、昨年1年間で最高裁判所裁判員制度の広報費を12億円も使いました。自ら先導して導いた制度を裁判所が違憲判断するはずがありません。
 去る9月26日、わたくしは「裁判員制度の実施延期を求める意見書案」を提出しました。結果は自民党の一部の会派と公明党の反対で否決されました。賛成は54人中23名でした。裁判員制度は施行後3年で見直すとなっています。そのとき広島市議会は実施を前にどんな行動を取ったかが問われることになります。わたくしが意見書案を提出したのは、広島市議会が異を唱えず裁判員制度を受け入れたとの非難を避けるための行動です。これを今でも誤った行動だとは思っていません。わたくしはこれからもこの制度を非難し続けます。参考までに「裁判員制度の実施延期を求める意見書案」の趣旨説明文を掲載します。少し長いのですが、参考になれば幸いです。次回はこの制度についての詳細を書きます。



 裁判員制度実施の延期を求める意見書案について趣旨説明を行います。
わたくしは、先の議会の質疑で裁判員制度の問題点について持論を述べましたので、この場では繰り返しを避けます。その後、次第にマスコミ報道も増え、制度実施に反対する意見も多く見られるようになりました。
 この制度が実施されたら、時を置かずして憲法違反であるとの住民訴訟が各地で起こされることになるでしょう。また、裁判員法では、この制度は実施後3年で見直すとされています。その時期になると廃止を求める意見が多く寄せられるものと、わたくしは予想しております。そのとき、制度導入前のこの時期に広島市議会がどのような対応をしたのかが改めて問われることになります。国が定めた制度だからといって唯々諾々として従ったのか、それとも国に物申す地方議会としての意思表示をしたのかが問われるでしょう。今回この意見書案を提出しなければ、本市議会は何らの行動も起こさず、国の方針を追認しただけという結果が残ります。たとえ意見書が国に提出されても、実際にこの制度の延期は出来ないかも知れません。しかし、言論の府として、本市議会がこの制度の可否を論じたことを議事録に残したいがために、この意見書案を提出いたしました。
案文を朗読いたします。

  意見書案第18号


 衆議院議長           
 参議院議長           
 内閣総理大臣           
 法務大臣

広島市議会議長名           

裁判員制度実施の延期を求める意見書案
 平成16年5月21日に成立した「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」、いわゆる「裁判員法」により、裁判員制度が平成21年5月21日から実施されることとなっています。
 しかしながら、各種の調査でも国民の多数が裁判員制度に参加したくないと考えており、国民的合意がなされているとは言い難い状況です。
 また、裁判員に選任された者は正当な理由なく裁判員を拒否することが許されていないこと、短期結審を見込んでいる裁判員制度では審理が十分に尽くされず、真相が究明されないおそれもあり、被告人の公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を侵害する危険性があることなどの問題点が指摘されています。
 さらに、裁判員としての拘束期間の長さや「守秘義務」違反の罰則規定などにより、多くの国民にとって裁判員になること自体が苦役であることから、心身の健康や本来の職務への影響も懸念されます。
 こうしたことから、裁判員制度は国民に多大な精神的、肉体的、経済的損害をもたらす可能性が高く、裁判員制度の実施は慎重に行われなければならないと考えます。
よって、国会及び政府におかれては、このような状況を勘案し裁判員制度の実施を延期されるよう強く要請します。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。