広島市議会議員(安芸区)

みんなで守ろう!ひろしまの救急医療

 いい顔、ふやそう。沖宗正明です。
 12月6日、中国新聞社ビルで開かれた市民公開講座「みんなで守ろう!ひろしまの救急医療」に参加しました。最も印象に残ったのは「県立柏原病院の小児科を守る会」代表の丹生(たんじょう)裕子さんの取り組みでした。兵庫県丹波医療圏は人口11万5000人を抱えており、このうち小児人口は18,000人です。あまりの激務に小児科医は「負担増に耐えられない」として辞職し、常勤小児科医ゼロの状況になりました。そこで立ち上がったのが「県立柏原病院の小児科を守る会」です。守る会のスローガンは(1)コンビに受診を控えよう、(2)かかりつけ医を持とう、(3)お医者さんに感謝の気持ちを伝えよう、の3つです。コンビニ受診とは、昼夜を問わず、軽い熱やケガで受診することです。これが増えると、必要な患者が必要な治療を受けられなくなります。現実に広島市でも広島市民病院でこうした状況になっています。それを防ぐためにも、(2)のかかりつけ医を持つことが必要です。まずかかりつけ医を受診して、救急かどうかを判断してもらうことが大切です。また、柏原病院では小児科窓口に「ありがとうポスト」を設置して、小児科医に感謝の気持ちを伝えています。こうした守る会の活動が実を結び、神戸大学から専門医と当直医が派遣されることになりました。その後、同院では時間外の受診者数が半分以下になっています。そして、今年4月に2人、6月にも1人の小児科医が赴任し、合計5人の小児科医が診療しています。素晴らしい取り組みです。
 現在医師はあまりの激務にさらされたうえ、心無い患者からのクレームに傷ついています。医療費の踏み倒しも珍しくありません。公立病院での医療費未払いは、結局は皆さんの税金で補填することになります。医療は義務感や正義感だけでは絶えられない職場になりつつあります。ほかにも、医療側、行政側からの建設的な意見が出されましたが、残念だったのは、このシンポジウムには国の厚生行政の検証が欠けていたことです。国は医療費削減政策を続け、この国の医療を崩壊させました。妊婦や未熟児が引き受けられなかったとき、行政もマスコミも「あってはならない事件が起きた」などとコメントします。したし、わたくしに言わせれば「あってはならない事件」ではなく、「起こるべくして起きたこと」です。これからも起きます。以前のように救急車に乗れば安心できた時代とは違います。これからも医療費削減政策が続く限り、国民の生命は粗末にされます。それがこの国の方針なのです。もはや国民は医療費に見合っただけの医療しか受けられないのが現実です。わたくしは、こんな国の厚生行政に怒りしか感じません。医師として、そして国民として声を大きくして、これからも国の誤りを正して行きます。