広島市議会議員(安芸区)

裁判員制度の問題点(10)

 いい顔、ふやそう。沖宗正明です。ここ数日寒さも和らぎ日中は少し汗ばむほどでした。
 3年前に起きた広島市安芸区矢野の女児殺害事件で、広島高裁は無期懲役とした1審判決のずさんさを指摘し、同地裁に審理のやり直しを命ずる判決を下しました。これで差し戻された広島地裁では死刑判決が下される可能性が高まりました。もし、この裁判が来年5月以降に始まる場合、当然裁判員制度の対象事件となります。裁判員は殺害された女児の陰惨な写真を見せられ、犯行現場の状況を微に入り、細に入り聞かされることになります。そして、みずから死刑判決を下さなくてはならない可能性も充分考えられます。裁判員にその覚悟ができているのでしょうか。さらに、死刑判決が確定して刑が執行された場合、死刑判決を下した裁判員は平常の精神状態でいられるでしょうか。トラウマが残ることが懸念されます。裁判官に高い身分保障がされているのは、このような苦悩を専門的な知識と経験で克服するためです。国民はそんなつらい役目を裁判官に高給でお願いしているのです。裁判員は日当1万円程度で死刑判決を下し、その後の精神的苦痛に耐えてゆかねばなりません。みなさん、それに耐えられますか?江戸時代の「生類哀れみの令」、アメリカの「禁酒法」よりもはるかにバカげた悪法です。