広島市議会議員(安芸区)

和田心臓移植の罪

 いい顔、ふやそう。沖宗 正明です。
 今冬初めて春の香りがしました。毎年の冬のこの時期にわたくしが楽しみにしているのは、春の香りです。寒さの中にもさわやかな香りがしました。いよいよ春ですね。


 昨日、和田寿郎札幌医科大学名誉教授が亡くなりました。和田氏は、わが国で初の心臓移植を行った方です。昭和43年の8月のことでした。わたくしは当時高校2年生でしたが、理髪店のテレビでそのニュースを見たのを思い出します。わたくしはその頃、医師になろうとは思ったこともなく、異次元の世界を覗いているような気がしました。


 しかし、和田氏の心臓移植は殺人罪で告発されるなど物議を醸しました。たとえば、脳死判定に必要な脳波を測定した証拠がありませんでした。また、裁判所に提出された心臓弁はレシピエントの山口義政さんのものではなく、他人のものでした。和田氏は免疫抑制療法に明るくなく、手術は成功であっても、山口さんの死因は拒否反応によるものでした。当時の医学会も和田氏を庇った形跡がありました。本当に心臓移植が必要であったことは証明されることなく、和田氏は証拠不十分で不起訴となりました。以後のわが国の移植医療の停滞を招いた罪は大きいと言わざるを得ません。その1年前に南アフリカのクリスチャン・バーナードによって世界初の心臓移植が行われ、功名心に逸ったことも否定できないでしょう。


 素人の方は驚くかもしれませんが、手術としての心臓移植は腎移植や肝移植に比べて困難なものではありません。血管は体内で最も太い部位のものであり、心臓はサイズも大きく最も原始的なポンプの臓器です。臓器移植は手術自体よりも術後管理が重要なのです。


 わたくしは、臓器提供のドナーカードを運転免許証のケースに入れています。