広島市議会議員(安芸区)

大変だア。電気料金が2400億円上がります。


 いい顔、ふやそう。沖宗正明です。
 広島市議会では平成20年度の予算特別委員会が開かれています。3月11日経済環境関係予算の審査で、地球温暖化について質問しました。以下は質問の要旨です。
 ニューヨークの原油先物市場では1バーレル(ドラム缶約1本分です)110ドルに達しました。原油先物市場には投機資金が流れ込んでいます。昨年1年間の1日あたり平均取引量は5億バーレルです。しかし、実際に油田からくみ出される原油の量は8000万バーレルです。つまり、1日の生産量の6倍以上の量がコンピューター上で取引されているのです。
 100ドルという数字はエネルギーの分野では象徴的な数字です。石炭は1トン100ドルに近づいています。原子力発電用のウラニウムは1ポンド100ドルに近づいています。日本ではもはや石炭は使われていないと思われるかもしれませんが、実は世界で最大の石炭輸入国が日本なのです。熱量あたりのコストは石炭は石油の3−4分の1なので、火力発電やセメント製造などのエネルギーに使っています。しかし、中国は石炭の輸出をストップしました。ベトナムインドネシアも石炭の輸出量を削減しました。石炭の価格もさらに上がるでしょう。
 また、日本は1年間に5億トンの石油を輸入しており、そのうち1割の5000万トンを火力発電用に燃やしています。その一方で石油エネルギーの塊であるプラスチックを埋めている自治体もあります。わたしは以前からプラスチックは燃やしてエネルギーを取り出すべきだと主張してきました。広島市でもやっとペットボトルや容器包装プラスチックはリサイクルし、その他のプラスチックは燃やすようになりました。このためごみの最終処分場への埋め立て量は5分の1以下になりました。
 さて、今年から5年間、京都議定書による温暖化ガスの排出削減が始まりました。削減量の義務はアメリカが7%、EUが8%、そして日本が6%です。中国とロシアには削減義務はありません。京都議定書の「親条約」である「世界気候変動枠組み条約」は1991年に結ばれました。この頃、東西冷戦が終わりソ連が崩壊したため、ロシアは国内経済がガタガタであり、とても温暖化ガスの排出量を心配するほどの経済状態ではありませんでした。ロシアが復興したのはプーチンが大統領に就任した2000年以降です。また、中国の主張は「現在中国を含めた発展途上国がたどっているのは、かつての産業革命以来、先進国が進んできた道だ。先進国がそれを非難するのはおかしい。温暖化ガスを削減することには賛成する。だから、日本を始めとした先進国が金と技術を提供すべきである。」というものです。現在温暖化ガスをもっとも多く排出しているのはアメリカでなく中国です。年間約20億トンを超えています(地球が1年間に吸収できる量は30億トンです)。中国が勝手なことをしていては温暖化を防ぐことはできません。洞爺湖サミットでしっかり議論すべきです。
 京都議定書には、温暖化ガスの主要排出国は削減義務を果たせない場合、他の国から排出権を買うことができるとされています。日本電気事業連合会(中国電力など電力会社の団体です)はこの5年間に20%の温暖化ガスの排出を削減することになっていますが、これを達成するには国内の原発稼働率が87%を超えなくてはなりません。現在は中越沖地震の影響で柏崎刈羽原発が停止されており、稼働率は64%です。そのため日本電気事業連合会は5年間に排出権を1億2000万トン分購入しなくてはなりません。排出権は1トンが約2000円ですから購入量の総額はなんと2400億円になります。ちなみに中国電力は1200万トンですから240億円です。これは確実に電気料金に跳ね返ります。現在、日本では節電などで企業からの温暖化ガス排出量はほぼ横ばいです。しかし一般家庭からの排出量が1990年の基準年に比べて20%もアップしています。一人一人がこのことを自覚しない限り、温暖化ガス排出量は減りません。電力料金が相当に上がらないと、節電するモチベーションが上がらないのかも知れません。いずれにしても、現在のような電力や資源ののムダを続けていれば必ず電気料金の値上げを受け入れなければならなくなります。