広島市議会議員(安芸区)

裁判員制度実施の延期を求める意見書案を提出しました。

 いい顔、ふやそう。沖宗正明です。
 朝夕はすっかり肌寒くなりました。今となっては真夏の蝉時雨が懐かしくなります。
 さて、9月26日(金)に9月定例会が終わりました。今回の補正予算の規模は約2億円と小規模なものでした。物議をかもしたのは「広島市地球温暖化対策等の推進に関する条例」で、趣旨は温暖化対策を目的としたものです。これは広島市だけでなく、事業者、市民、広島市の滞在者に責務を負わせるものです。細かい内容は申し上げませんが、市民や関係業者に対する説明不足が指摘され、充分に理解が得られているとはいえない状況でした。したがって、議会としてはもう少し時間をかけて関係者の理解を得た上で、内容を練り直して再提出を求めたものです。12月定例会か2月定例会で改めて同趣旨の条例案が提出されると思います。
 最終日にわたくしは「裁判員制度実施の延期を求める意見書案」を提出しました。残念ながら賛成少数で否決されました。55人の議員中、賛成したのは23名で、わが会の「市民市政クラブ6名(所属の藤田議長には議決権がありません)」、「市民連合9名」、「共産党5名」、「未来クラブ3名」。反対は「自民党新政クラブ11名」、「政和クラブ9名」、「公明党8名」、「爽志会3名」の31名でした。
 地方議会として国が決めたからといって黙って賛成してわけではないことを議事録に残すために、この意見書案を提出したものです。裁判員法では裁判員制度は実施後3年で見直すとされていますので、その時期になると必ず国民の間で廃止を求める意見が多数寄せられると思います。そのとき広島市議会として今回の意見書案を否決したという事実は大きいと思います。わたくしはこの意見書案を提出したことを全く悔やんでいません。結果は3年後に評価されるものと信じています。参考までに意見書案の趣旨説明と内容を掲載します。裁判員制度について「コメントを書く」欄にご意見をお寄せくだされば幸いです。



裁判員制度実施の延期を求める意見書案趣旨説明 H20.9.26
裁判員制度実施の延期を求める意見書案について趣旨説明を行います。
わたくしは、先の議会の質疑で裁判員制度の問題点について持論を述べましたので、この場では繰り返しを避けます。その後、次第にマスコミ報道も増え、制度実施に反対する意見も多く見られるようになりました。
この制度が実施されたら、時を置かずして憲法違反の住民訴訟が各地で起こされることになるでしょう。また、裁判員法では、この制度は実施後3年で見直すとされています。その時期になると廃止を求める意見が多く寄せられるものと、わたくしは予想しております。 そのとき、制度導入前のこの時期に広島市議会がどのような対応をしたのかが問われることになります。国が定めた制度だからといって唯々諾々として従ったのか、それとも国に物申す地方議会としての意思表示をしたのかが問われるでしょう。今回この意見書案を提出しなければ、本市議会は何らの行動も起こさず、国の方針を追認しただけという結果が残ります。たとえ意見書が国に提出されても、実際にこの制度の延期は出来ないかも知れません。しかし、言論の府として、本市議会がこの制度の可否を論じたことを議事録に残したいがために、この意見書案を提出いたしました。



      意見書案第19号

 衆議院議長           
 参議院議長           
 内閣総理大臣           
 法務大臣

          広島市議会議長名           

   裁判員制度実施の延期を求める意見書案
 平成16年5月21日に成立した「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」、いわゆる「裁判員法」により、裁判員制度が平成21年5月21日から実施されることとなっています。
 しかしながら、各種の調査でも国民の多数が裁判員制度に参加したくないと考えており、国民的合意がなされているとは言い難い状況です。
 また、裁判員に選任された者は正当な理由なく裁判員を拒否することが許されていないこと、短期結審を見込んでいる裁判員制度では審理が十分に尽くされず、真相が究明されないおそれもあり、被告人の公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を侵害する危険性があることなどの問題点が指摘されています。
 さらに、裁判員としての拘束期間の長さや「守秘義務」違反の罰則規定などにより、多くの国民にとって裁判員になること自体が苦役であることから、心身の健康や本来の職務への影響も懸念されます。
 こうしたことから、裁判員制度は国民に多大な精神的、肉体的、経済的損害をもたらす可能性が高く、裁判員制度の実施は慎重に行われなければならないと考えます。
よって、国会及び政府におかれては、このような状況を勘案し裁判員制度の実施を延期されるよう強く要請します。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。