広島市議会議員(安芸区)

プロレスラー三沢光晴さんの死亡について

 いい顔、ふやそう。沖宗正明です。
 13日、プロレスラー三沢光晴さんが広島県立体育館での試合中に頭部を強打し、亡くなりました。死因は頚椎損傷による頚髄離断でした。たとえ救命しえても、首から下は全く動かない状態になっていたと思われます。呼吸を司る筋肉のひとつである横隔膜へは7個ある頚椎の第3・4・5番目から神経が出ていますので、頚髄離断が第5頚椎より下のレベルなら呼吸はできた可能性はありますが、第3頚椎のレベルより上なら自発呼吸もできない状態になったでしょう。
 わたくしが心配するのは今後のことです。当該プロレス団体の巡業継続や対戦相手、業界やその関係者に肩身の狭い思いを必要以上にさせる流れが出そうです。亡くなった三沢選手は気の毒です。しかし、格闘技の何たるかを全く知らない素人のコメンテーターが、プロレスが危険すぎるとか八百長なので止めるべきだとか、したり顔で意見を述べるのはプロレス関係者には失礼な話です。彼らはショーとは言え、激しいトレーニングを積み、研鑽しています。トレーニングの足らない選手の試合は見るに耐えない無様なものです。こんな不幸な事件でプロレスの将来が危うくなるとしたら亡くなった三沢選手は不本意でしょう。何でも政治のせいにしたり、子ども一人が怪我しただけで遊具を禁止したり、じゃれついて噛んだ犬を処分することがありますが、本質から離れた議論になるような気がします。1年前の秋葉原の無差別殺人事件でダガーナイフが使われたからという理由でダガーナイフの販売が制限されました。ダガーナイフを禁止すれば殺人がなくなると考えたのでしょうか。なんと無意味なことでしょう。人を殺す気になれば、ダガーナイフでなくても他の刃物でも目的は果たせます。それまでダガーナイフを重宝して使っていた人たちには迷惑な話でしょう。
 プロレス関係者はこの事件を重く受け止めた上で、自分たちの立場を堂々と主張し、自分たちの真剣な試合がファンに感動を与えてきたことにプライドを持ってほしいと思います。昨日、ワウワウでプロボクシングのWBO世界ウェルター級タイトルマッチの放映がありました。チャンピオンのミゲール・コットはバッティング(お互いの頭がぶつかることです)で右の眉全体に亘るほどの深い裂傷を受け、激しい出血のため右の視力は相当に落ちた状態で最期まで戦い、ベルトを防衛しました。彼の戦いぶりが観客に与えた感動は賞賛に値するものでした。わたくしも経験がありますが、格闘技の選手は苦しい戦いに勝利すると、さらに高いレベルに達します。
 素人が内容も知らずにこの不幸な事件を批判するのは控えたいものです。
 三沢光晴選手のご冥福をお祈り申し上げます。