広島市議会議員(安芸区)

医学生の解剖実習のための献体を望んで逝った母

 いい顔ふやそう。沖宗正明です。

 きょう4月22日は母の一周忌です。享年90歳でした。母は80歳を過ぎても独学でパソコンを操作し、毎年リビングウィルを書き換えて私に託していました。

 延命治療を拒否する旨や自分の死後の手続きなどが細かく書かれてあり、随分助かりました。その中に両親ともに死後、医学生の解剖実習のために献体することも書かれてありました。私が国費で医師になれたことに感謝していたためです。

 昨年のこの頃はコロナ禍の最中であり、遠方に住んでいる私の弟や子供たちには帰広しないように指示し、ごくわずかな身内だけで葬儀を済ませました。

 その後、母の遺体は広島大学からの霊柩車で、火葬場に行くのではなく同大学医学部に直行しました。遺骨の返還は3~4年後になると説明を受けました。いまは防腐処理を施されて医学部に安置されています。

 

 人体解剖実習は、医学生にとって初めて強烈に自分が医師になることを実感させられる体験です。私の時代には医学部3年生の夏休み明けの9月中旬から年末まで、平日の午後は毎日解剖実習に当てられました。自分では気づきませんが、ホルマリンの匂いが白衣だけでなく体に染みつきました。その時期に学生食堂に後輩たちが入って来ると、その匂いで解剖実習が始まったことが分かるほどです。

 母の意思が医学生たち、そして医学の発展に役立つことを願っています。