広島市議会議員(安芸区)

蕎麦の食べ方~蕎麦は猪口に残らない

 いい顔、ふやそう。沖宗正明です。

 ときどき蕎麦を食べたくなることがありますが、広島には旨い蕎麦屋が少ないと感じます。落語の世界でも蕎麦が出てくる話は多くあります。今の時間を聞いて一文ごまかす「時そば」、何枚の蕎麦を食べられるか賭けをする「そば清」、毎回蕎麦屋に小言を言う「蕎麦の隠居」・・・。関西では似たような噺もうどんに代わることが多いようです。噺家で初の人間国宝となった先代の五代目柳家小さんの蕎麦の啜り方は絶品でした。眼を閉じて聞いていると、本当に蕎麦を手繰っているようでした。蕎麦の噺を聞いた客が寄席近くの蕎麦屋に殺到したことも頷けます。

 

 さて、蕎麦の食べ方です。江戸っ子は出汁をつけるのは野暮だと言って、一切付けなかった者もいたそうです。落語で、死ぬ間際の人が「いっぺん蕎麦に出汁をつけて喰いたかった」と語るオチがあります。

 私が江戸っ子に習った食べ方は以下の通りです。まず5~6本の蕎麦を箸で摘んで蕎麦本来の香りを味わう。蕎麦の下側をわずかに出汁に浸す(蕎麦の長さの1割以下)。豪快に音を立てて一気に啜る。こうすれば蕎麦の香りが鼻の奥まで広がり、猪口に蕎麦は残りません。ソーメンやうどんのように出汁にどっぷりと浸すなどもってのほかです。最後に蕎麦湯で締めます。

 とはいえ、私はもう少し出汁を付けないと食べた気がしませんので蕎麦が猪口に残らない程度に付けています(長さの半分程度?)。私は江戸っ子の粋な我慢とは縁遠いようです。